約2トン、35年分の量の古新聞でリサイクルアート-福岡県立美術館で

「重ねた新聞紙の肌触りはまるでシルク」と大庭実華さん

「重ねた新聞紙の肌触りはまるでシルク」と大庭実華さん

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 福岡県立美術館(福岡市中央区天神5)1階展示室で5月26日より、古新聞を使った作品を制作するアーティスト・大庭実華さんの個展「大庭実華展-流III・II-」が開催されている。

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 以前、県庁舎の保存を求める運動に参加するなど、「古いものを新しいものに変えることが好き」という大庭さんが、新聞紙を初めてアートの素材として採用したのは1992年。同年に行われた「福岡市リサイクルアート展」に出品した、新聞紙を重ねて作ったサイコロ「エコロジー賽(さい)は投げられた-リサイコロ」が初作品だ。

 「会議録(情報)を付ける職業であることと、日常生活に密接したものという点から、自分が選ぶ素材は『新聞紙』がぴったり」だと古新聞に目を付けたと明かす大庭さん。自宅や職場で新聞紙を集め始めたのだという。

 今回の作品のテーマは「情報の積み重ねと時の流れ」。一辺10センチの正方形にカットした新聞「情報」を50センチの長さまで重ね、ねじった束700本を会場に敷き詰めた。黄色に変色した古い新聞紙で作った束から順に、新しい新聞紙で作った束まで、会場の奥から並べて「時の流れ」を表現したという。

 同作で使用した古新聞は約2トン。枚数にして約10万枚で、一般家庭の約35年分の量。開催中は、流れの終わり部分に1日1枚、日付が入った部分を切り取った新聞紙を加えていくという。大庭さんは「身近な新聞紙とは思えないきれいな波で、肌触りも良く自由に触ってほしい。見る角度、日の当り具合で変わる作品の表情も楽しめる」とも。

 開催時間は10時~18時。月曜休館。入場無料。6月7日まで。

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