国体道路沿いに位置するDVD・CDレンタル店「TSUTAYA BOOK STORE TENJIN」の3階の一角にオープンした「スタートアップカフェ」。広さは約100平方メートル。木目を基調とした内装で、創業相談窓口らしくない、気軽に入れる雰囲気が特徴だ。
福岡市は今年6月に事業者を募集。同店の集客数や立地条件などを考慮し、手を挙げた「TSUTAYA」を展開する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」(東京都)に運営を委託した。同フロアには3万冊のビジネス書籍をそろえ自由に閲覧ができるほか、ワーキングスペース、無料Wi-Fiや電源、コピー機なども完備。11月にはカフェ内の一角に雇用労働相談センターも設ける。
店内には「相談相手」となるコンシェルジュが常駐。創業相談や手続きの際に必要な専門家の紹介のほか、創業希望者と支援者、人材確保などのマッチングにも対応するという。エクゼクティブコンシェルジュを務める、経営や人材のコンサルティング業「ドーガン」(大名2)の藤見哲郎さんを筆頭に、IT起業や飲食事業者らから成る非常勤のアンバサダーコンシェルジュなど計9人のコンシェルジュで構成。毎日2~3人が常駐する。藤見さんは「ビジネスの出会いを作って行ける場になれば」と話す。
オープンから約3週間。店内では、常駐するコンシェルジュと時折笑いながら話し込んでいる人の姿も見られる。「多い時には1日20人来られる日も」と福岡市経済観光文化局 創業・大学連携課長の藤本広一さん。
定期的にセミナーやトークセッション、交流会なども実施しており、「毎日何かやっていて、来ると誰かに会えて、いろいろな議論ができる、刺激を受けることで新しい何かが生まれるような場所にしたい」と藤本さん。店内で開かれるイベントは、異業種交流会や起業家をゲストに迎えるトークセッション、起業を目指す女性によるマーケットなどジャンルもさまざま。「相談をきっかけに勉強会などのイベントに定期的に参加頂いている方も多い」という。
「福岡はお互いの顔が見える小さなコミュニティーで、皆で応援し合い、ある程度の大きさまでは事業が育つ。しかし、そこから飛びぬけて大きくなろうという会社が少ないように感じる」と藤本さん。「少人数で面白い仕事ができることがゴール。東京はそこがスタートと考える人が多い。そこが福岡は面白いと考える人もいれば、そこがつまらないという人も。企業が成長すると雇用も生まれるので、もっと成長してグローバルな企業も増えていってほしい」と期待を寄せる。
オープン前、関係者向けに開かれた内覧会に出席した高島市長。「福岡で就職してグローバルに活躍できる、こういう価値を作っていくのがこのカフェ。ここをスタートに全国に新しいチャレンジが生まれてくる、そのきっかけになれば」と話した。
文・写真/編集部 秋吉真由美