同協議会は昨年、街歩きを専門とする「まち歩き事業ワーキング」を開設。以前は、歴史を中心とした内容で他団体との共催イベントとして不定期にツアーを開催していた。「最近は参加者も徐々に増加。街歩き中にも通りがかりの人に声をかけられることも増えた」と同協議会まち歩きワーキング長の園田祐子さん（写真右）。だが定期的なツアーがなく、次のツアーの確実な案内ができず、なかなか軌道に乗りづらい状況だったという。

事業化にともない、協議会主催によるツアーを定期的に行うことになったが「歴史を中心とした内容のため、参加者は年配の方が多かった」という。「若い人にも街歩きの楽しさを知ってほしい」と今年からツアーの独創性に力を注いでいる。

1月22日に行われた新春第1弾は、若宮神社、水鏡天満宮、警固神社、旧福岡公会堂貴賓館などのパワースポットを巡る開運スポットを巡るツアーを企画。「幅広い層に人気を集め好評だった」と園田さん。街歩きのガイドは歴史探訪ガイドのボランティアが務め、ツアーテーマに応じて特別講師を招く形で行っている。

　バレンタインデーで盛り上がりを見せる2月は「女子力アップ」を目的としたツアーを2月12日に実施予定。バレンタインスイーツの紹介、天神の縁結びスポット訪問、最後には「おいしく食べてきれいになろう」と野菜スイーツを食べながら、ベジフルマイスター・NORICOさんによる講座がセットになった内容。

3月は福岡市が「博多と天神をつなぐ」をテーマに行う、アートイベント「まちなかアートギャラリー福岡」と連動、4月は博多駅と天神を結ぶ歩道に約10万本のチューリップを植える「福博道しるべ」と合わせたツアーを予定している。

シーズンイベントに合わせたツアーのほか、ツアーの催行自体を市民や来街者に浸透させようと「福岡観光案内所を出発地点とし、毎月、何曜日、何時に定期的に催行するツアーを検討中」と園田さん。5月のゴールデンウィーク明けを目途に実施する予定で「出張で時間が空いたビジネスマンなどを対象に、とりあえず観光案内所に行けば何かがあるという意識付けしたい」という。定期的ツアーとシーズンツアーの主に2本柱で街歩きを展開していく。

「私たちも歩けば歩くほどトリビアな発見がある」と園田さん。「そんなきっかけを作り、街に興味を持ってくれる、街を好きになる、街を知りたいと思う人が増えてくれれば」。

「大名のベーカリーショップから広がるパンを焼く匂い、ホテルのカフェのモーニングコーヒーの匂いなど天神の早朝も興味深い」と早朝まち歩きツアーや「夜の街大名を巡るナイトクルーズ、メードカフェなどが集まる天神の『アキバ』・北天神を知るマニアックツアー、行き先を明かさないミステリーツアー、男性が普段入りにくいカフェを巡る甘党男子向けスイーツツアーなど、やってみたいツアーはたくさんある」と園田さん。「婚活など冒険度の高いツアーも楽しいはず」。

「天神にはユニークなスポット『点』（単独）では知っているが、それを『線』でつなぐのが街歩きの作業。つないでいくと、個性のあるツアーは無数にできる。同じ場所でも面白い切り口で何通りも街を楽しむことができる」とも。

3月、ついに新博多駅が誕生する。「博多と天神、手をつないで、それぞれの個性を生かして福岡を一緒に盛り上げて生きたい」と博多まちづくり推進協議会とのコラボも視野に入れて検討中だ。

「（同協議会の）ツアーでしか体験できない厚みのあるツアーを企画していきたい。このツアーが天神の名物スポットが誕生するきっかけになり、街の魅力アップにつながれば」と期待を寄せる。