■2代目区長はカナダ人
初代区長には福岡県出身の元
AKB48メンバー篠田麻里子さんが就任し、区民の登録開始から約半日で1万人を超える人気を集めたが、「『カワイイ』という言葉は男女差別を助長するのでは?」などの声が上がり、今年2月に篠田さんは区長を退任。約半年間、区長は空席となっていた。
2代目区長に就任したミカエラさんは
1988年生まれの25歳。高校時代、ロックバンド「X JAPAN」のファンだった友達の影響で日本に興味を持ち、2005年に宮崎県の高校へ留学。高校卒業後は熊本で英会話教師として働きながら日本語を学び、
2008年に福岡に転居。現在は英会話教師をしながら、福岡の街や文化を紹介する動画を自ら撮影しユーチューブに配信している。
ユーチューブへ動画配信を始めたのは2006年の熊本に住み始めた頃。「カナダにいる家族に元気な様子を伝えるため、日常生活を撮影していたことがきっかけ」という。「区長の依頼が来たときは爆笑」とミカエラさん。「なんか面白そう」とカワイイ区誕生時には自身も区民登録をしていたというが、「1年後、まさか自分が区長になっているとは…」と驚きを隠せない。
区長に選んだ理由を「私たちが気づかない魅力に気づいている」と高島宗一郎福岡市長。「独特な視点、感覚を持つミカエラさんの発信力に期待したい」と話す。
■「コンパクトさ」が魅力
「なぜ福岡を選んで住んでいるのか」と問うと、「外国の人にはまだ知られていない街。アジアの玄関口だし、海や山が近い。欲しいものもすぐ近くにあるちょうど良い大きさの『コンパクトシティ』。本当に住みやすい」とミカエラさん。さらに「
福岡の一番の魅力は人がすてきだということ。困った時には声を掛けてくれる」という。「『愛しとうバイ』『好いとうバイ』など博多弁もカワイイ」。
また「若いエネルギーが集まる場所」とも。「大名や今泉では、個性的なスタイルやファッションが見られるし、刺激的」。今、夢中のエリアは「今泉」。「小さなレストランやおしゃれなカフェ、カンガルーの肉やワニの空揚げが食べられる面白いレストランもお気に入り」という。
■世界中の人を福岡に
男女差別を懸念する苦情に対しては「『カワイイ』という言葉は
自分がいいなーと思うものに向かって使う言葉。女性に対して、男性に対してなど使い方に制限はない」とキッパリ。市の広報課も「表現方法に配慮しながら政策を進めたい」とし、「(ミカエラさんの起用について)海外の方に福岡を知って興味をもってもらうきっかけになれば」と期待を寄せている。
ミカエラさんは「海外はもちろん、県外や福岡に住む人にも役に立つ情報を届けたい。上手く発信していければ、東京や京都
など日本を代表する観光地に負けない魅力は十分にある」と目を光らせる。
「モツ鍋に水炊き…まだまだ紹介していないものがいっぱい」。先日は動画撮影のため、「一人屋台」に初挑戦した。「店の人やお客さんとの会話が楽しかった」と振り返るが「メニューに英語表記が無く、6年前の私なら怖かった。街や店にもう少し英語の表記を増やしてほしい」と区長として街への苦言も忘れない。「世界中の人たちを福岡に呼びたい!」と頼もしい。
取材・写真/編集部 秋吉真由美