風で音を鳴らす楽器「エオリアン・ハープ」を公開-天神のビル屋上で

エオリアン・ハープの研究を行っている杉山紘一郎さん

エオリアン・ハープの研究を行っている杉山紘一郎さん

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 天神パークビル(福岡市中央区大名2)屋上で2月12日より、風で音を鳴らす楽器「エオリアン・ハープ」を公開している。

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 エオリアン・ハープとは、弦に風が当たって生まれる「カルマン渦」と呼ばれる渦が弦と共振することで音が鳴る楽器。起源は古く、楽器名はギリシャ神話の風の神「アイオロス」が持つ琴に由来する。現在オーストラリアなど、国外ではアーティストが製作し、他の楽器を一緒に鳴らして音を楽しむなどして取り入れられているが、日本ではまだ知られていない楽器だという。

 弦の素材、太さ、張る幅のほか、風の強さ、吹き方など確立した仕組みがない「エオリアン・ハープ」のとりことなった九州大学の歴代の学生らが3年前より研究を開始。同イベントは同大学の芸術工学専攻博士3年の杉山紘一郎さんと同1年の渡辺融さんが、研究の一環として行うもの。

 屋上の屋根の骨組みを利用し、2方向に3種類の太さの釣り糸を約80本張っている。「音を鳴らすのに1年半かかった」(杉山さん)という弦は、ギター弦などの金属系やひもなど、太さ、柔らかさも考慮し、さまざま種類を実験した結果、釣り糸を採用。鳴る音には糸の伸び具合も関係しているなど、自然の「風」を利用することもあり、「理論通りにいかず、新たな疑問が次々と生まれる」ことがエオリアン・ハープの魅力と杉山さん。

 同所はビルの壁が風の流れを作り、鳴りやすい環境という。2人は「飛行機が通ったあとも音を聞くチャンス」と寒い中、エオリアン・ハープを楽しんでいる様子。杉山さんは「この風では鳴るだろうと思っても鳴らなかったり、自然を利用しているのに人工的な音が聞こえたり。弦を張るだけのシンプルな構造なのに毎回聞こえる音が違い、奥が深い。いつか、どの方向に風が吹いても鳴り続けるエオリアン・ハープの家を作ってみたい」と声を弾ませる。

 実施時間は10時から日没まで。土曜・日曜は閉場。2月22日まで。

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