イムズ（福岡市中央区天神1）8階の三菱地所アルティアムで開催されている「2008日本ジュエリーアート展」を舞台に9月7日、「プロポーズ大作戦」が決行された。

　作戦は、来年3月に同ギャラリーが20周年を迎えることを記念して「人の人生の節目に、作品を絡めたイベントでギャラリーを温かい場にしたい」（同ギャラリーの北村さん）と企画された。企画を知り、「プロポーズ大作戦」の主役に名乗りを上げたのは、5年間付き合っている彼女・藤田由希さん（23歳）へのプロポーズを考えていた福岡市在住の大野智史さん（25歳）。

　半年前に企画案が生まれ、大野さんは今年6月より、藤田さんの母親から借りてきた幼少時代から今までの写真を集めた写真集の制作やプロポーズとともに渡す婚約指輪をそろえるなど、同ギャラリースタッフらと協力し、藤田さんに極秘で準備を進めてきた。

　作戦決行当日、北村さんをはじめギャラリースタッフらは「リハーサルを何度もしたが、緊張する」と自分のことのようにソワソワしている様子。周囲が慌ただしい中、大野さんは、藤田さんと19時30分過ぎに同ギャラリーへ来場。

　「日本ジュエリーアート展」は、ジュエリーデザイナーの登竜門として知られる公募展で、会場には作家86人の個性豊かな作品240点が並んでいる。2人が展示作品を鑑賞する中、事前に入賞作品とともに展示作品の一つのようにショーケースにしのばせていた婚約指輪のキャプションを「2008年9月7日 大野智史さんから藤田由希さんへのプロポーズで渡される記念すべき指輪」へとすり替え、藤田さんが指輪に気づくのを待つのみとなった。

　周囲に緊張感が漂う。藤田さんは婚約指輪の前で足を止め、展示されているキャプションに気づくと、うれしさと驚きで号泣。大野さんはプロポーズの言葉を贈ると、藤田さんは状況が上手くつかめずに動揺しながらもうれしそうに応え、プロポーズ大作戦は無事成功した。

　その瞬間、会場裏に控えていた2人の友人らがシャンパンで祝福。会場は温かい拍手喝采で幸せな空気に包まれた。

　「感動して、実感がわかない。出会った人に感謝。この感動は味わった人にしか分からない。今後も、このギャラリーから幸せな人がまた1人、増えてほしい」と藤田さん。大野さんも「ギャラリーの方をはじめ、協力してくれた方に感謝」とホッとした様子。

　同ギャラリーの門脇さんは「仕事をしなきゃという自分と、幸せな瞬間を味わった自分と2人の気分。今後も、こういった幸せなギャラリーウエディングをはじめ、新しいギャラリーの使い方をしていきたい」と話している。

　さらに会場では、2人が出会ったアルバイト先であるケンタッキーフライドチキンのチキンが振る舞われるなど、2人はもちろん、偶然居合わせた来場客にも忘れられない時間となり、作戦は大成功のうちに幕を閉じた。

　同展の開催時間は10時～20時。入場無料。9月15日まで。