特別展「博多のみほとけ」が現在、福岡市美術館(福岡市中央区大濠公園)2階特別展示室で開催されている。
同展は、コの字形をした展示室を博多湾に見立てて、それぞれの地域に伝わる宗教美術を紹介する展示会。博多湾沿岸を3つの地域に分け各地域の神社仏閣の所在地や起源などを紹介するほか、同館や寺社が所蔵する仏像、絵画、工芸など期間中の入れ替え含め約60件を展示する。
展示は、福岡県指定文化財「千手観音菩薩立像」(小田観音堂伝来、福寿寺蔵)、「誓願寺創建縁起」(誓願寺蔵)、「阿弥陀如来坐像」(円覚寺蔵)、聖福寺の住持を務めた僊厓義梵(せんがいぎぼん)が描いた「釈迦三尊図」(福岡市美術館蔵・石村コレクション)など。
会場は3部で構成。「第1章 西部地域」では、糸島半島の蒙古山から今津湾、姪浜までのエリアの寺社が中心。「第2章 中部地域」では、御笠川と那珂川にはさまれた旧博多部にある寺社を紹介するほか、僊厓義梵の禅画や書画を展示する。「第3章 東部地域」では、志賀島や箱崎エリアの寺社を中心に紹介する。
同館学芸員の宮田太樹さんは「美術作品としての価値だけでなく、その場所にある意味や地域の歴史を感じてもらえるように展示方法を工夫した。平安時代の仏像には九州の地域性がある。肩部分の衣が内側から外側へ1回多く折り返されているほか、飾り帯が腰回りにあるなど、これらの特徴は北部九州に多く見られる」と話す。「自身の住んでいる地域にこれだけ多くの寺社があり、各地域で大切にされてきた宗教美術作品があるということを知ってほしい。作品を通して、博多が古くからアジアとの窓口だったことを感じてもらえたら」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時30分(入館は閉館30分前まで)。月曜休館。観覧料は、一般=1,400円、高・大学生=900円、中学生以下無料。12月8日まで。