特集

緑の中で音楽を
「けやき通り音楽祭」

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■発端は客との会話から

「音楽好きなお客さんがカウンターに集まって生まれた話でね」とにこやかに話すのは喫茶店「珈琲美美(びみ)」(赤坂2)の店主で「けやき通り音楽祭」の代表を務める森光宗男さん。「このあたりはアートギャラリーが特に多い。いっそ音楽も加えて、街を楽しむ機会をもっと作りたかった」という。ある日、音楽好きな森光さんと音楽の話で盛り上がった、店に居合わせた数人が中心となって、その「手作り」音楽祭は動き始める。

その数人で試行錯誤、音楽関係の知人らの協力も仰ぎ、20114月、プレイベントとして1日限定の「けやき通り音楽祭」の開催にこぎつけた。翌年には、福岡市美術館や周辺の飲食店など14会場に拡大し、1週間の本格開催が実現した。

4回目を迎える今年は、65日~14日、「珈琲美美」をはじめ、福岡市美術館など12会場で開催する。森光さんも大ファンというチェリスト・藤原真理さんやバンドネオン奏者・三浦一馬さんによるコンサートのほか、福岡を拠点に活動する音楽家がギャラリーや喫茶店で演奏する「まちかどライブ」を予定する。

■緑と音楽を楽しむ10日間

「緑がきれいで時期を選んだ。毎年楽しみにしている方も多くてうれしい」と森光さん。「美術館など定期的に会場を貸してくれるところも増えて、人や店舗間の交流も多くなった。偶然にもあの日、音楽好きが集まったことが不思議」。

森光さんは東京の有名喫茶店で修業し、1977年に今の場所ではなく、今泉で「珈琲美美」を創業。けやき通りが好きで移転を考え始めた途端、偶然にも当初から気になっていた現在の場所が空き店舗となり、6年前に移転が実現したという。

やわらかい日差しとコーヒー豆の香りが重なる店内。畳んだ日傘の横で話を聞きながら目をやる窓の外は鮮やかな緑。「森の中にいるような感覚が好きと言ってくれるお客さんも多くてね」。中には「客」として来店したことがきっかけで音楽祭に参加することになった音楽家も。「最初に10年続けようと目標を掲げたのであと6年。けやき通りが好きな店主、お客さんと一緒に作り上げる音楽祭を楽しみたい」と目尻にしわを寄せる。

取材・文/編集部 秋吉真由美



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