特集

運行開始から1カ月
好調な滑り出し「福岡オープントップバス」

  • 0

  •  

■多彩な3コース

博多祇園山笠、ビル群を描き国際都市を表現した「赤」、福岡タワーやヤフードームを描きウォーターフロント福岡を表現した「青」の2種類の車体デザインで、約3.3メートルの高さは標識が近く、迫力は満点だ。1日10便、毎日運行しており、地方都市では毎日運行の屋根なし2階建てバスは初という。2台のバス購入費2億1,000万円のうち、福岡市が約1億5,000万円を補助し、オーダーメードの国産車を用意した。


コースは、シーホークホテル→福岡タワー→大濠公園・福岡城址を巡る「シーサイドももち・福岡城址コース」、博多ふ頭・ベイサイドプレイス→博多駅→櫛田神社を巡る「ベイサイド・博多街なかコース」、博多駅→シーホークホテル→福岡タワーを巡る「福岡きらめき夜景コース」の3コースで所要時間は1時間~1時間半。2階席のみで定員は36人。料金は大人1,500円、子ども750人。


 運行開始から1か月で利用客は7000人(4月23日時点)を超え、乗車率は約7割。1日平均の利用者数は約235人で、利用客の属性は福岡県内が約60%(うち約40%が市内)、福岡県以外の九州内が約15%、九州外が約25%(うち外国人が2%)となっている。予約がスムーズにできるよう、4月20日には予約専用ダイヤルも設けた。当初見込んでいた利用客・年間5万人は上回る見通しだ。


高島宗一郎福岡市長の声をきっかけとし、昨年2月に構想が生まれた。「福岡で観光地を巡るとなると、地下鉄やバスの乗り換えが多く観光地間の移動がしにくい。ぐるっと回遊して観光するものがあれば便利」と福岡市観光コンベンション部・吉田宏幸プロモーション推進課長。「目立った観光スポットがない福岡の観光の目玉としてPR、活用していきたい」としている。


■「バスアナ」が案内

車内には「バスアナ」と呼ばれる女性スタッフが乗務。「バスアナ」とは、バスアナウンサーの略で、福岡のタレント・モデル事務所「シナプス」に所属する福岡在住の女性8人が交代で観光案内や乗客の安全管理、乗車券の発券・検札業務を行う。


「バス車内の雰囲気作りが重要で、イベントの司会やタレント業をしている方に頼んだ」と自動車事業本部の宮﨑泰課長。バスアナそれぞれがリサーチした福岡の魅力を紹介するという。


「参加型の楽しい車内を心がけている」とバスアナの杉野亜希子さん(写真左)。空き時間にも携帯で福岡の新しい情報探しに余念がないという。


制服は博多織を取り入れたデザインを採用。福岡で活動するデザイナー・江頭良亮さんと博多織の専門学校「博多織デベロップメントカレッジ」の学生らがデザインを手掛けた。


■福岡観光の目玉に

「ベイサイド・博多街なかコース」に乗車した60代の女性は「香港で乗ったことがあったので楽しみにしてきた。福岡にも楽しい観光の目玉ができたようでうれしい」。40代の男性は「車体のデザインも格好良い」と好きで何度も乗車しているという。


今後は、UVカット素材のうちわや冷却シート、飲料水の配布など夏の暑さ対策や、外国人向けに携帯端末のGPS機能を使って観光施設の案内を聞くことができる仕掛けも調整中という。「季節に合わせたコースの変更や有名人がガイドを務める乗車イベント、外国人限定イベントなど飽きられない仕掛けを考えていきたい」と宮崎さん。「移動の手段ではなく、遊園地のアトラクションの感覚で楽しんでほしい」と話す。


通りに面している神社や歴史的建造物が少なくバス車内から見えにくい立地が惜しいが、バス自体が福岡の観光の目玉になることを期待したい。珍しさが落ち着く頃、他の観光バスと違う「バスアナ」の個性が強みとなるか。




取材・文/編集部 秋吉真由美

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース