ピンク。「サラ忍マン」と名乗る人物の正体は、福岡市内のIT企業に勤める田口健太郎さん40歳。営業部統括マネジャーとして真面目に働くサラリーマンだ。至って真面目な営業マンだった田口さんだが、数々の偶然が重なり、忍者の道へと導かれるように頭巾をかぶることになる。
の歴史体験型テーマパーク「元祖忍者村肥前夢街道」もコースに盛り込んだ。忍者にピンときた田口さん。実は以前の職場の上司が「忍者ハットリくん」に似ていたことから、「辞めるまでに頭巾を一度でいいからかぶせてみたい」と手作りしていた頭巾があったことを思い出す。「これはちょうどいい!」と田口さんはその頭巾をかぶって忍者村へ。2人の娘の冷たい視線をよそに「こんな客は初めてだ!」と忍者村で手厚い歓迎を受けることとなる。
やメッセージ、アメリカやイギリス、フランス、ブラジルなど、次から次へと海外から友達申請が殺到。もちろん国内の反響も大
きく、タレント事務所からスカウトまでくる始末。「世界では忍者が求められているようだ」と田口さん。「気づいたら1年近く頭巾をかぶっていた」と振り返る。

。「義理人情やマナーを伝えるのも仕事」と言い切る。得意とする忍術は「名刺手裏剣」。サラ忍マンいわく「可憐な仕草で名刺を差し出す。商談成立しやすくなる忍術」なのだという。「その美しさは日ごろの鍛錬の成果によるもの」とも。
ことができる」らしいが、1日1回しか使えないのだという。理由は「嘘くさくなるのでドクターストップがかかってしまう」とのこと。
きなものは「都会の優しさ」「楽しい修行」のほか、原点はサラリーマンだという顔がのぞく「終身雇用」「年功序列」「五時から男」。苦手なものは、「都会の冷たさ」「つらい修行」「ノルマ達成」「経費削減」らしい。

「仕事の帰りも遅く、全然なついていなかった娘たちも、サラ忍マンになってちょっと気にしてくれている」と目を細める。背中に
漂う哀愁。「悩んでいるだけでは生まれない。自分で変えていかなければならない」と目を光らせる。「私は幸運にも頭巾というアイテムを手に入れた。世の中の肩身の狭いお父さんたちに勇気を与えたい」と話す。
取材・文/編集部 秋吉真由美