青空に向かってジャンプをする瞬間や満開の桜にはしゃぐ姿、真夏のスイカ割り…などすべてスーツ姿の梅田さんが主役のこれらの作品は、ポーズや隅々までの構図にこだわりが感じられるものばかり。すべて一人でコンパクトデジタルカメラのセルフタイマーを駆使して撮影したもので、ダイナミックな構図に梅田さんのセンスが光る。
「前職を退職して以来、兄の結納の食事会の場で久しぶりに着たスーツにテンションが上がった」ことがきっかけで、7年半前より「スーツ写真」を撮り始めたという梅田さん。「スーツを脱ぐのがもったいない」と一人で向かった魚釣りで、「ブラックバスが釣れた記念に撮った1枚がすごく違和感のある写真に仕上がったのがうれしく、今に至ります」という。記念すべき最初の1枚の写真はこちら(写真右)。
その後、三脚などカメラ用品をそろえ、本格的に撮影開始!と思いきや、セルフ撮影のコツがつかめず、カメラを壊してしまうハプニングなどもあったというが、どんどん撮影に夢中になっていく。「スーツは真面目の代名詞。スーツ姿は何をしても違和感が生まれて面白い」と梅田さん。スーツは「形がきれいで細身のもの」を愛用。「写るもののクオリティーを上げたいので、シルエットにはすごくうるさいです」とも。
梅田さんの普段の顔は、福岡市内で事務をこなすビジネスマン。撮影は主に週末に集中して行う。好きな撮影スポットは「海」。企画展や音楽イベントなどにも出没するという。
「街での撮影中は撮りましょうかと声をかけられることも多い(笑)」と梅田さん。「セルフタイマーのタイミングを計ってジャンプをする瞬間に笑い声が聞こえることもしばしば。心が折れそうになりながら撮影しています。撮影中は基本的に恥ずかしい」。
インタビューの後、ジャンプの瞬間の撮影風景を拝見すると、1枚を撮影する度に「恥ずかしい…あぁ恥ずかしい…」とつぶやくシャイな一面も。写真のダイナミックさからは微塵も感じさせない、撮影風景のギャップに思わずクスリ。
撮影は予想以上に大変なようで、「夏場のスーツは辛い。スーツで飛び跳ねて撮ったスイカ割りの撮影中は熱中症になった」「激しいジャンプで股から膝の裏までスーツが破れ、カバンで隠しながら帰った」など苦労エピソードは尽きない。なんと撮影で肉離れを起こしたこともあるらしく、「内ももが紫色になって病院に行ってみたら、医者が『肉離れ起こしているよ、何してたの?』と(笑)」。自慢の1枚を生み出すのには苦労が絶えない。
負傷しながらも撮影を続ける理由を問うと「いいね!」とキッパリ。「(フェイスブックで)リアクションをもらえることがうれしくて」と梅田さん。「夢は写真集を出すこと!」と目を光らせる。
取材・文/編集部 秋吉真由美
馬のかぶりものにスーツ…福岡で自分撮り写真家・梅田創介さんの写真展(天神経済新聞)