5月16日、東急ホテルズ(本社=東京都)が運営する「博多東急イン」(福岡市中央区天神1)が営業を終了した。
天神の中洲西大橋そば、那珂川を見下ろす位置に1969年5月に「博多東急ホテル」として開業。38年に渡って営業を続けてきたが、大幅な改築を必要とする老朽化や東京急行電鉄との賃貸契約満期に伴い、閉館となった。
16日朝、宿泊客の11時のチェックアウトをもって営業終了。全従業員がロビーに集合し、最後の見送りをした。宿泊したいという常連客の予約や閉館についての労い、問い合わせの電話が殺到し、最終日の稼働率は72%・240人の利用があったという。深々と頭を下げる従業員に「ありがとう。感謝しています」と声をかけていた女性(61歳)は、「38年働いた弟の気持ちに寄り添いたい」と閉館を惜しみ、宿泊。「福岡を訪れる知り合いに、自信を持って紹介できるホテル。私にとっては、お客様をお通しする『応接室』だった」という。
最後の利用客がチェックアウトを済ませると、宮島総支配人から同社の梅原社長にメモリアルキーが手渡され、出発する車を全員で手を振り、見送った。中には泣きながら見送る従業員の姿も。笹原支配人は「楽しい思い出しかない」と振り返る。
全従業員約50人は今後、他の系列店舗へ異動するほか、全く別の分野の仕事を始める人もいるという。跡地には西日本鉄道(中央区天神1)が、1階エントランスや1部客室を改装し、「西鉄イン福岡(仮称)」を出店する予定。