天神で「博多おきあげ羽子板展」-伝統の「ぬくもり」知って

おきあげ工芸士の清水清子さん(後列中央左)と福岡工業高等学校の学生ら(=写真)

おきあげ工芸士の清水清子さん(後列中央左)と福岡工業高等学校の学生ら(=写真)

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 アクロス福岡(福岡市中央区天神1)1階コミュニケーションエリアで開催中の「博多おきあげ羽子板展」を1月8日、福岡工業高等学校(早良区)で染織デザインを学ぶ学生らが訪問し、伝統工芸の「おきあげ」について学んだ。

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 「博多おきあげ」は約400年の歴史を持つ羽子板の技法。おきあげ用の下絵を描き、型紙を作る。その上に綿を乗せて布でくるむ。大きな作品になると150~250ほどの細かいパーツを貼り付けて作品が出来上がる。同展は、おきあげ工芸士として約50年の実績を持つ清水清子さんが制作した芸者がモチーフの伝統的な作品をはじめ、福岡ソフトバンクホークスのマスコットキャラクター「ホークファミリー」をあしらったものなどの博多おきあげ作品、約50点を展示している。

 訪問したのは同校の染織デザイン科の学生5人。卒業作品として偶然にも「博多おきあげ羽子板」を制作していた縁で、同科の圖師欣彦教諭が清水さんに指導を依頼。学生は自身が作った作品を持参し、「良い意味で伝統の枠にはまらない新鮮さに感心する」(清水さん)との高評価に照れながらも、おきあげについての歴史や作り方のアドバイスに熱心に耳を傾けていた。

 圖師欣彦教諭は「伝統への知識が無いことがかえって斬新な発想を生み出す。『好きなように作れ』と言い聞かせた」と話す。「自由に」と言われ、学生らはのびのびと自身の個性を発揮したようで、赤と白の連獅子の髪を緑と紫で表現したものや、羽子板の飾り台の止め部分を今年の干支にちなんで「子」の形にしたものなど、個性豊かな作品が生まれた。「学生さんの『現代』風の作品はとても新鮮で勉強になる。発想が面白い」と清水さん。

 「(制作以前は)『おきあげ』の知識などほとんどなかった」という3年の西原一成さんは連獅子の代わりに革ジャンを着たロッカーを羽子板に。「パンクロックが好き。重ねるところなど細かい作業が難しかった」(西原さん)と感想を明かす。

 清水さんは体験教室で講師を務めるなど、展示のほかにも積極的に「おきあげの本物の良さ」を伝えている。「若年層が起こす事件が多い、若い世代の方も『布のぬくもり』を感じてほしい。日本人として『伝統』に何か通じるものがあるはず」と話す。作品制作については「今後は全国の祭りなどほのぼのとしたホッとする作品を作りたい」とも。

 1月11日には今年の干支「子」の「博多おきあげ」をつくるワークショップも開催する(材料費900円)。展示時間は10時~18時(最終日は16時まで)。今月13日まで。

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