特別展「没後50年 電力王・松永安左エ門の茶」が現在、福岡市美術館(福岡市中央区大濠公園1)で開催されている。
福岡の鉄道事業をきっかけに電力業界で活躍した松永安左エ門(1875年~1971年)は、電力会社「東邦電力」を発展させ、戦後に電力事業再編成を行った豪腕ぶりから、「電力王」「電力の鬼」の異名をとる。還暦を迎え、仕事の第一線から退くころ、茶の湯に没頭し、茶道具の名品を収集するようになった。同展では、松永さんの功績に関する資料やエピソード展示、収集した茶道具や美術品約120点を展示する。
会場は、「福岡から『電力王』へ」、「茶の湯三昧-柳瀬山荘時代」、「『電力の鬼』の茶-老欅荘時代」、「愛蔵品を語る」、「松永記念館の華」の5章からなる。鉄道事業に携わった福岡時代の写真や新聞記事をはじめ、茶会記録を基にした茶道具や美術品の再現展示、展示品にまつわる松永さんの言葉など、エピソードを交えて紹介する。そのほか、松永さんが「電力再編成」と「茶道」について語るラジオ番組の音声を公開する。
学芸員の後藤恒さんは「豪腕ぶりに『鬼』ともいわれたが、本当は繊細で懐の深い人だったと思う。松永コレクションの魅力だけでなく、松永さん本人の『柄』の大きさや魅力を感じる展示を心掛けたので、足を運んでもらえれば」と話す。
開催時間は9時30分~17時30分(10月の金曜・土曜は20時まで)。月曜休館。観覧料は、一般=1,300円、高・大学生=800円、小・中学生無料。11月21日まで。