特別展「大灯籠絵(おおとうろうえ)」が現在、福岡市博物館(福岡市早良区百道浜3)で開催されている。
博多湾沿岸の町の夏祭りでは、「大灯籠」と呼ばれる大型の明かりを飾るエリアがある。「大灯籠」には約2メートル×4メートルなどの武者絵や説話の一場面などが和紙に描かれている「大灯籠絵」がある。同展では、市内で確認されている大灯籠絵約60点を集め、風土に関する記録資料、大灯籠絵が飾られてきた地域の紹介パネル、写真資料なども展示する。大灯籠絵を集めた展示は同館初。
同展を企画したきっかけについて、企画担当で学芸員の河口綾香さんは「福岡県有形民俗文化財指定の『大浜流灌頂大燈籠(おおはまながれかんじょうおおどうろう)』の所在と現状確認をする調査を2021年に行った際に、新たに12点の大灯籠絵が発見された。この調査がきっかけで本格的な調査を行い、市内に60点以上の大灯籠絵が現存していたことが分かった。現在も調査は継続して行っており、中間発表も兼ね当展を企画した」と話す。
会場は、「『大灯籠』の特徴と展開」「絵師たちの活動」の2章で構成する。「『大灯籠』の特徴と展開」では、博多湾沿岸のいくつかの町で飾られてきた大灯籠の特徴や、大灯籠の存在がどのように変わってきたかを、町や人々の記録などを手がかりに紹介。「絵師たちの活動」では、大灯籠絵を描いたとされる浮世絵師や絵馬師を取り上げ、作品や資料などを通して地域との結びつきを紹介する。
9月28日13時30分からは、福岡市博物館の中野等総館長による講演会「大灯籠絵にみる娯楽としての『歴史』」を同館2階喫茶・談話室で開催する。定員50人。参加無料(同展観覧券または半券の提示が必要)。事前申し込み不要で、当日13時から先着順に受け付ける。
河口さんは「大灯籠絵は福岡の人にもまだあまり知られていない。地域の魅力や、地域が抱えている課題に気づくきっかけになれば」と話す。
開館時間は9時30分~17時30分(入館は17時まで)。月曜(9月23日、10月14日、11月4日は開館)と9月24日、10月15日は休館。観覧料は、一般=1,200円、高大生=800円、中学生以下無料。11月4日まで。