第22回福岡アジア美術館アーティスト・イン・レジデンスの成果展「空と地のはざまで」が現在、アーティスト支援施設「Artist Cafe Fukuoka(アーティストカフェフクオカ)」(福岡市中央区城内)で開催されている。
福岡アジア美術館(博多区下川端町)では、1999(平成11)年からアジアの、2022年からはアジアに限らず国内外のアーティストや研究者を一定期間福岡に招へいし、福岡での創作活動や作品発表などの機会を提供するアーティスト・イン・レジデンス事業を行っている。現在、2024年度1期(7月~9月)として6人のアーティストが同事業に参加している。同展では、参加アーティストたちの福岡での活動を紹介するほか、制作した作品を展示する。
1977年インドネシア・ジョグジャカルタ生まれのエコ・ヌグロホさんは、ストリート・アートやグラフィティ、漫画の要素を織り交ぜ、柔道着に福岡タワーや福岡城などをモチーフに描いた大型絵画作品「フライング・オーケストラ」を、1992年パキスタン・メラブプール生まれのマハブブ・ジョキオさんは、絶滅危惧種の魚を模した99匹のこいのぼりのインスタレーション「登竜門からの消失」を展示。1988年インドネシア・スラバヤ生まれのレガ・アユンディア・プトゥリさんは、福岡の河童伝説や福岡の風景をヒントに人類の進化を描いたドローイング・インスタレーション「ペロディスカス・サピエンス」を、1988年神奈川県生まれの安田葉さんは、風を利用して移動する動植物をテーマに、福岡・八女の和紙と竹を使って作った凧(たこ)のインスタレーション「風でつながるコミュニティ:北風と南風」を展示する。
1994年福岡県生まれの浦川大志さんと1980年高知県生まれの上村卓大さんは、7月~12月の6カ月間滞在制作する長期レジデンス参加アーティスト。第2期(10月~12月)の成果展で完成作品を展示予定で、同展では、その制作のプロセスを展示する。浦川さんは、「博多べい」からインスピレーションを受け制作した絵画作品と12月の展示に向けたドローイング「準備室:解体された壁のためのストレッチ」を、上村さんは、制作スタジオがそのまま作品になるような作品「Occupied/Vacant(仮題)」を展示する。
福岡アジア美術館学芸員の趙純恵さんは「実際にアーティストが福岡のさまざまな場所に足を運んだり、地元の方と交流したりしながら生まれた作品。福岡で生まれた新しいアート作品と、そこに込められたアーティストの思いが詰まった成果展になっている。この機会に見ていただければ」と来場を呼び掛ける。
開催時間は11時~17時。9月24日は閉館。観覧無料。9月29日まで。