福岡市科学館(福岡市中央区六本松4)3階企画展示室で現在、特別展「毒」が開催されている。
同展は、動物や植物、菌類が持つ毒や、鉱物、人工毒などあらゆるところに存在する毒について、多角的な視点で解説し紹介する展覧会で、総展示数は約250点。一昨年から昨年にかけ、東京の国立科学博物館と大阪の大阪市立自然史博物館で開催した。
同館企画リーダーの板垣早織さんは「福岡では、一つのテーマに基づき、これだけ多くの本物の標本や剥製、科学的な解説などを見られる展覧会はなかなかない。そういう機会を増やしたいと思い開催に至った」と話す。
同展の監修統括で、菌類の研究者である細矢剛博士は「生物から無生物、植物、動物、菌類全部が並んでいるのは世界でもまれな展覧会。これをきっかけに毒というものがどういうものかを考え、だからこそ正しく付き合えば大丈夫なんだと納得してもらう機会になれば。拡大模型も楽しんでもらえれば」と見どころを話す。
会場は5章で構成。「第1章 毒の世界へようこそ」では毒を定義し、ウイルスやアルコールなど身近な毒を紹介。「第2章 毒の博物館」では自然界に存在する毒や毒を持った生物を紹介し、イラガの幼虫やオオスズメバチなどの拡大模型や毒キノコ、マイクロプラスチックのほか、福岡会場で新たに追加したワサビなどを展示する。「第3章 毒と進化」では、毒と生物の進化の関係を紹介し、アカハライモリなども展示。「第4章 毒と人間」では、毒を使った狩猟や漁についてや、毒を研究し生み出された薬などのパネルと共に、毒と人間の関りを紹介する。「終章 毒とはうまくつきあおう」では、役に立つ毒や毒と対峙(たいじ)する知恵などを紹介し、毒との関係を振り返り将来のことを考える内容になっている。
同館6階サイエンスホールでは11月2日13時30分から、昆虫博士の丸山宗利さんによる講演会「昆虫採集と危険な生き物」を開催する。参加費は500円で、定員300人。同4日には、ワークショップ「薬草風呂の素をつくろう」(10時30分~・13時~、参加無料、要事前申し込み)などの関連イベントも開く。
グッズコーナーでは、「公式図録」(2,400円)や「特別展『毒』焼印入まんじゅう(6個入)」(972円)、「ベニテングタケぬいぐるみ」(2,640円)、「ツキヨタケぬいぐるみ」(3,080円)、「毒ロゴステッカー(ピンク・イエロー)」(358円)、「ラバーコースター(ピンク・グリーン)」(1,100円)、「毒ロックグラス」(1,760円)などを販売する。
板垣さんは「『毒』というものは実は身近にあふれている、ということを教えてくれる展覧会。毒ではないものも毒になり得るし、毒も使い方によっては薬になるなど、食べられない、触ると危険というだけではない、さらに一歩踏み込んだ知識が得られると思う」と話す。
開催時間は9時30分~18時(入場は17時30分まで)。入場料は、一般=1,800円、高校生=1,200円、小学生・中学生=600円、未就学児入場無料。来年1月13日まで。