福岡市在住の画家・田中千智さんの作品「生きている壁画」第3弾制作が現在、福岡市美術館(福岡市中央区大濠公園)2階コレクション展示室の最終壁面で行われている。
「生きている壁画」は、2023年1月から同年3月に行われた企画展「田中千智展 地平線と道」の一部として制作された。同館2階の幅13メートルの白い壁面を舞台とする企画展の1回目で、田中さんに制作を依頼。田中さんの希望で、一年ごとに壁画に加筆し、完成まで3段階に分け制作を進めてきた。
最後の第3段階の制作となる今回は1月7日に制作を始め、今月31日に完成予定。壁画は制作期間中も公開し、完成までの様子を見てもらう。制作は、月曜・日曜以外の10時~17時に行う。館内で制作の様子を見学する場合は、コレクション展観覧券が必要。
作品は、アクリル絵具を使った漆黒の背景に、人物、動物などのモチーフを油彩で描く。第1段階では夜の森の風景を表現し、黒い背景にさまざまな色の服を着た子どもや蛇、フクロウ、オオカミなどを描いた。第2段階では中央に三角形の黄色い背景を出現させ、右側に船と港を描き、左側には戦争や災害を思わせる炎や壊れた家を描いた。田中さんは「制作を始めた当初は体の使い方が難しく、慣れるまで苦労した。一年おきの制作なので、次の制作まで頭の片隅で壁画のことを考えながら暮らしていた」と振り返る。
2月22日の14時から、田中さんと同館学芸員・忠あゆみさんが登壇するトークイベント「『生きている壁画』第3段階・完成トーク」を同館1階ミュージアムホールで行う。定員は180人(当日先着順)。参加無料。
田中さんは「制作途中でギャラリーと話したり、大きな壁画に取り組んだり、今までやったことないことにチャレンジした。会話からヒントをもらうことも多い。第1弾・第2弾は、どんな絵を描くか予め準備したが、今回は下絵を用意せず制作に取りかかっている。自分でもどうなっていくか楽しみ」と話す。
開館時間は9時30分~17時30分(入館は閉館30分前まで)。月曜休館。コレクション展観覧料は、一般=200円、高・大学生=150円、中学生以下無料。展示は今年12月末まで。