■概要
岬地区コミュニティ運営協議会(福岡県宗像市、以下岬コミュニティ)が推進してきた放課後学習支援「玄海東ネット寺子屋」が、隣接する玄海地区にも拡大しました。また、地域主体の新たな学習支援団体「玄海リンク」が設立され、社会総がかり教育体制の実現に向け、地域全体での学習支援を継続しています。
■玄海地区への事業拡大
玄海東小学校で一定の成果を収めた岬地区での取り組みが、玄海地区へとその活動を広げました。この拡大により、教育機会が限られている玄海エリア全域で持続可能な学習支援が提供されるようになりました。玄海小学校でも、放課後の時間に学校の教室を使ってICTを活用した個別学習支援を行い、地域の子どもたちが自ら学び、学力を高める環境を提供しています。
■「玄海小ネット寺子屋」の概要(2024年度)
■「玄海リンク」の誕生
1.設立の背景と目的
玄海リンクは、地域課題の解決に向けて住民一人ひとりが「当事者意識」を持ち、地域づくりに参加することを目指しています。玄海学園コミュニティ・スクールの大きな課題の一つとして、学力向上があります。それを実現するための事業の一つとして、「ネット寺子屋」を拡大させました。
【現状の取り組み】
放課後の時間にネット寺子屋を開き、つまずきの解消や自学自習の習慣づけを実施。
学力向上だけでなく、子どもたちが「自ら学ぶ姿勢」を育む場を提供。
一人ひとり自分の課題に向き合う児童
放課後の教室をお借りしてみんなで学習
【短期目標】
玄海地区全体の学習支援の充実。
中学1年生を対象とした短期的な学習支援イベントの実施。
【長期的展望】
中学生までの支援範囲拡大を目指し、将来的にはリメディアル教育の提供も視野に。
地域のコミュニティ・センターを活用し、住民全体に学びの機会を提供する構想。
2.学習支援におけるICTの活用
これまでのネット寺子屋で行っていたICTを活用した効果的な学習支援に加えて、今年度の新たな試みとして子どもたち、学校、保護者、運営間の情報共有を推進しています。
【先生マイページの開発】
ネット寺子屋での学習状況を担任の先生が確認できるようにし、学校との連携を強化。
簡単にアクセスできるICTツールで、関係者間の情報共有を効率化。
【保護者マイページの利用促進】
子どもの学習状況をリアルタイムに、わかりやすく提供。
保護者マイページの利用促進に向け、月謝袋に学習ログを同封し保護者への情報提供を強化。
3.課題と必要な支援
玄海リンクの持続可能な運営には、地域・学校・自治体のさらなる連携と支援が不可欠です。
【ボランティアサポーターの募集】
子どもたちの学びを支える「見守り型」のサポーターが求められています。
専門知識は不要で、子どもたちの隣で学習を見守り、困ったときに寄り添うサポートを歓迎。
サポーター研修
手が止まっている児童に寄り添う声かけ
サポーター参加申し込みは左記QRコードをご参照ください。
見学のみも可能です。
【資金確保の必要性】
学習支援活動を維持するため、資金的な支援を地域や企業に呼びかけています。
学習成果の可視化を通じて、保護者のご理解を得ていきます。
■関係者のコメント
【宗像市立玄海小学校 副校長 毛利拓也先生】
「ネット寺子屋」に参加している子どもたちのアンケート結果について、ご紹介します。「ネット寺子屋に参加して勉強がわかるようになりましたか?」という問いに、「とても」と答えた子が77.7%もいました。そう答えた子に理由を尋ねると「計算がちょっとだけ早くなったから」、「少しずつできるようになったから」と子どもたち自身が『できた!わかった!』を実感していることが分かります。
また、「ネット寺子屋のよさは何ですか?」という問いには、「算数を徹底的に学習できて、みんなのやりたい学習とかを聞いて、その学習をやらせてくれる。」「地域の人が丁寧に教えてくれるし、静かで楽しい。」「計算が早くなる。」と子どもの実態や希望に応じた学習ができると同時に楽しさやできる喜びを実感していることも分かりました。
このように実際に参加している子どもたちが「ネット寺子屋」のよさや価値を教えてくれています。とても素晴らしいと思います。
今後も「ネット寺子屋」に参加する子どもがどんどん増え、学力を高めていくことを期待しております。
これまでの指導者の皆様のご指導ご支援に感謝しております。今後もどうぞよろしくお願いいたします。
【宗像市教育委員会 地域教育連携室 堤社会教育主事】
宗像市では、小中一貫コミュニティ・スクールを推進しています。小中一貫コミュニティ・スクールとは、小中9年間の「たてのつながり」(小中一貫教育)と、地域や家庭との「よこのつながり」(コミュニティ・スクール)で、子どもたちの成長をみんなで支える仕組みです。玄海学園(玄海小、玄海東小、地島小、玄海中)は、3つの小学校と1つの中学校があります。そして、玄海学園校区には、学校が連携・協働する中心的存在であるコミュニティ運営協議会が、3つ(玄海地区、岬地区、池野地区)あり、それぞれに抱えている課題を学園運営協議会において共有しながら、地域学校協働活動を一体的に進めています。その中で象徴的な取組である「ネット寺子屋」は、地域が主体となって子どもたちの学力保障に取り組むものであり、コミュニティ運営協議会関係者や元保護者、高齢者などの多様な地域住民が携わっています。玄海東小と岬地区で始まったこの取組を、玄海学園校区全体へと拡げるために誕生した「玄海リンク」は、玄海学園校区全体の連携を強化し、社会全体の教育力の向上に寄与していると言えます。
学校・家庭・地域が一丸となって取り組むネット寺子屋を通じて、子どもたちの教育機会格差の解消、主体的に学ぶ子供の育成だけでなく、子どもを中心に多様な大人がつながることによる地域課題の解決など、多くの人の笑顔がうまれることを願っています。
【株式会社コラボプラネット 代表取締役 西原申敏】
私たちは「もっと身近に学びの場を」をコンセプトに、地域コミュニティによる学習支援の場づくりのサポートや学習支援のシステム開発を行っています。基礎学力は子どもたちの進路選択にも大きな影響を与えてしまうものです。そして、学びなおす機会さえあれば、誰しもが身につけられるものでもあります。学習が最初から嫌いな子どもは少なく、多くの場合「できない」の積み重ねで嫌い・苦手になっていきます。そんな時に身近に学ぶ機会があり「できる」を積み重ねていくことができれば、学習に対して前向きに捉えることができるようになり、将来の選択肢を広げていくことにも繋がります。それは長い目で見たときに、地域づくりに繋がるものだとも感じています。
今後は、より多くの個人・企業にも関わってい頂けるような仕組みづくりを行い、子ども達にとって、「学習と地域」「学習と将来」がより繋がりのあるものになっていくよう尽力して参ります。
■今後の展望
岬地区での実績を基に、玄海地区での放課後学習支援の枠組みを拡大し、地域全体で子どもたちを支える体制が整備されています。また、「玄海リンク」の設立により、教育支援活動が地域に根付き、さらに中学生など他学年の生徒を対象に同様の取り組みが展開されることが期待されています。今後は、保護者や学校との連携をさらに強化し、地域の教育格差を解消するための中学生向けの学習支援イベントなどが計画されています。
■玄海小、玄海東小の方へ
ネット寺子屋では受講生を随時募集しています。
ご興味のある方やご希望の方は、下記玄海リンクお問い合わせまでご連絡ください。
■■お問い合わせ先■■
玄海リンク
玄海学園地域学校協働活動推進員による地域と学校をつなぐ活動をする団体です。
担当者:廣橋
住所:福岡県宗像市田野1382 宗像市立玄海東小学校内CSルーム
MAIL:genkai.link2024@gmail.com
株式会社コラボプラネット
「もっと身近に学びの場を」をコンセプトに、ICTと地域リソースを活用した持続可能で効果的な学習支援を提供しています。
担当者:森山、西原
住所:福岡市中央区天神2-3-36 ibb fukuokaビル404
TEL:092-332-7775
MAIL:info@blearnch.com
HP:https://colab-planet.com/