特集

会場は住宅街の一角
隠れ家での「雑貨市」がブーム?

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■手作りの良さをPR

大宮2丁目にひっそりとたたずむ一軒家のレンタルスペース「貸空間shizuku(シズク)」では7月13日・14日、手作り雑貨をそろえる「大宮てづくり市」が開催された。


雑貨店や作家の作品を取り扱うネットショップの運営を手掛けるCoKoNET日本雑貨共同組合事業部が主催し、「手作りの良さ、福岡から生まれた作品をもっと知ってもらいたい」と代表の右田智子さんが企画した。


右田さんは雑貨店経営の経験を持つ。小規模の雑貨店では、在庫を抱えることへのリスクがあるが、新鮮さを保つには商品の入れ替えが欠かせない。見慣れた在庫が積もると飽きられ、客離れにつながる。右田さん自身が経営で数々の壁にぶつかったことをきっかけに同事業部を立ち上げた。「いい作品を作っているのに趣味の域を超えておらず、販路の広げる方法を知らない作家が多い」と交流のある作家へ出店を呼びかけた。


会場ではデザイナー、イラストレーターなど福岡を拠点に活動する作家7人が出店し、手作りのアクセサリーや衣料品などを販売。当日は、豪雨にもかかわらず、多くの来場者が集まり、各作家によるワークショップも実施。「作家と身近にふれ合い、作品に込めた思いなどを直接話せる点が好評だった」と右田さん。「大宮てづくり市」は年に4回、定期的に開催していきたいという。


8月には「雑貨の輪in福岡」と名付けた雑貨に特化した新たな情報サイトも公開する予定で、「作家同士のつながりや販路拡大のきっかけになれば」と話す。


■アパートの通路を会場に

大宮1丁目にある、築27年の3階建てアパートをリノベーションした施設「Passage F(パサージュエフ)」。パリのパサージュをテーマにしたデザインで、2階・3階は住居、1階には雑貨店、ヘアサロン、飲食店など個性豊かな5つの店が顔をそろえる。


出店したい雑貨店のイメージに合う物件を探して、ここにたどり着いたという進藤広史さん・じゅりさん夫妻。「イメージにぴったりでかわいい!」と即決し、昨年10月にカフェを併設した雑貨店「MARKT(マルクト)」を出店した。


出店から一カ月後、静かな住宅地にある施設自体の知名度が低かったこともあり、「まず近所の人に知ってもらえれば」とじゅりさんが同施設初のイベントを発案。「大宮は、1丁目と2丁目だけの小さなエリアだが、ユニークな店が多い」と周辺の飲食店や雑貨店にも声をかけ、宣伝用のフライヤーも手作りし、開催にこぎつけた。


13店舗が参加し、昨年11月に1回目の「エフ市」を開催。現在は2~3カ月に1回のペースで継続し、7月には初めて2カ所で2日間に拡大して実施。参加店舗が24店に増え、通路の奥では地元ミュージシャンによるライブも行った。「家族連れや年配の方、犬の散歩中の方など幅広い世代の人が来てくれた」とじゅりさん。「アパート住民も協力してくれて、クレームは一件もない」という。



イベント開催前に比べて通常の来客数も伸び、出店の問い合わせも増えた。「店舗同士がつながることで情報交換の場や新たな出会いが増えたことで活動の場が広がる。海外で開かれているような、何でもそろったゴチャゴチャ感のある楽しいマルシェを続けたい」と笑顔を見せる。






取材・文/編集部 秋吉真由美

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