特集

グラス片手にまちづくり
「薬院サルー祭り」が1周年

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■発端はお酒の席での会話から

「薬院でこんなのできたら面白いよね」と食事の席でのアイデアが発端となり、薬院にある不動産会社「ひかり生活デザイン」の春口治彦さん、飲食店「CAFE SONES(カフェ・ソネス)」の木下雄貴さん、スペイン料理店「IBIZARTE(イビサルテ)」の尾花一平さんら飲食店店主を中心とする7人で始めた。1,000円でドリンクチケット3枚、ワイングラス1個を受け取り、グラスを持って好きな店舗を巡ることができる。各店舗では、イベント当日限定の特別メニューなども提供し、顧客の新規開拓につなげようと奮闘している。


開催は比較的、客数が減る日曜日とし、月に1回、最終日曜に実施。毎月、各店舗スタッフは参加者に配るワイングラスのタグ付けやチラシ配りまで役割分担し、1から10まで手作りで行っている。


「行きたかった店や、気になっていた店に足を運ぶきっかけになれば」と木下さん。春口さんは「定期的にイベントを行う街ということもあり、住みたい人や飲食店の出店希望者も増えている」と話す。「1店舗だけで客を呼ぶ時代ではなく、地域で呼ぶ時代になっているのかも」。


■来客数は10倍に

初回のチケットは450枚を売り上げ、まずまずのスタートを切った。回を重ねるにつれて認知度も上がり、ゴールデンウィークの初日と重なった9回目のサルー祭りでは、過去最大となる約1600枚の売り上げを記録。今では平均で約1500枚の売り上げが定着しているという。「家族連れや店でイベントを知った外国人旅行者、一人での参加も多く、通常営業時の約10倍のお客様に来ていただいている」と尾花さん。参加店舗も12店舗から今では約30店舗に増え、参加希望の問い合わせも多いという。


エリア内2カ所に設置するインフォメーションでは、イベントの翌日以降に参加店舗で使える割引券が当たる抽選会を行っているほか、店内では流しのアーティストやフラメンコダンサー、マジシャンによる投げ銭ライブも実施するなど、「ただお酒を飲むだけのイベントじゃない」と趣向を凝らす。また、迷惑行為やひったくりなどのトラブルを未然に防ごうと交代でパトロールも行い、安全面も考慮しているという。


■あいさつが溢れる街に

1000人以上がグラスを持って薬院1丁目を歩く姿は非常に面白い。参加者同士がすれ違いざまに『サルー!』と声を掛け合ったり、『あの店が良かった!』と話しが弾んでいる様子も見られる。本場スペインの週末の雰囲気に近い」と尾花さん。県外からも「イベント開催の参考にしたい」と相談を持ちかけられることも増えたという。「今後は飲食店以外も参加できるよう、アイデアを練っています」とも。


「顔見知り程度の住民のネットワークが広がって『おはよう』『お疲れ』と声を掛け合う、あいさつが増える街になれば」と木下さん。「サルー目当ての旅行者も増えればいいな」と期待を寄せる。




取材・文/編集部 秋吉真由美





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