昨年、福岡ブルーノート跡にオープンしたクラブ&レストランの「ビルボードライブ福岡」(福岡市中央区天神2)が9月3日、開業1周年を迎えた。
同店は、昨年8月にオープンした「東京ミッドタウン」内の東京店、同26日大阪・西梅田「ハービスPLAZA ENT」内の大阪店に続く3店舗目。昨年、9月3日のオープニング公演は、「音の神様」との異名を持つ、ドナルド・フェイゲン、ウォルター・ベッカーから成るユニット「スティーリー・ダン」が飾った。
開業から今年8月までの公演アーティスト数は、163組。245日間、1日2ステージ、計490ステージを行い、約5万人を動員した。
3店舗のネットワークを利用したビッグネームのブッキングが同店の特徴だが、同店広報担当の佐々木吾衣さんは、1年間を通して、「求めるアーティストが東京とは違う。独自の切り口での空間作りが必要」と福岡店ならではの課題が見えてきたという。こうした課題に対して、2年目は攻めの姿勢で「落ち着いて音楽が楽しめる空間を保ちつつも、高級なイメージを良い意味で崩したい」と佐々木さん。
今年5月には、福岡店独自でブッキング担当を設け、より多種多様な音楽ジャンルをカバーしているほか、福岡での露出が少ないアーティストが出演し、20~30代のコアな音楽ファンに支持されているイベント「HANABI」とのコラボ企画や、九州各県やアジアからの集客を図るため、公演チケットと宿泊がセットになったパックを提案するなど、新規顧客の開拓を行っている。
今年1月からは、「利用の幅を広げたい」と休演日にレストラン営業も開始した。音楽ファン以外の利用を喚起することで、ライブへ足を運ぶきっかけ作りをも狙う。
同店が年2回、ファンクラブ会員を招いて開くイベントで行ったアンケート調査によると、「福岡のファンは、クラブはもちろん、アーティストを一緒に育てていこうとする思いが感じられる」(佐々木さん)という。
福岡店ブッキング担当の込山康史さんは「有名無名に関らず、大きな会場では味わうことができない空間を作り上げ、九州の音楽ファンの選択肢を広げていきたい」と意気込みを見せる。