
大型複合ビル「ONE FUKUOKA BLDG.(ワン・フクオカ・ビルディング)」(福岡市中央区天神2)が4月24日、開業した。
旧「福岡ビル」「天神コア」「天神第一名店ビル(天神ビブレ)」跡地に建設された同ビル。国家戦略特区による規制緩和などを活用した、新たな空間と雇用を生み出す福岡市の取り組み「天神ビッグバン」の一つである「福ビル街区建替プロジェクト」として、昨年12月27日に竣工した。コンセプトは「創造交差点」。さまざまな人やものが交わり、多様なアイデアが出会い、新しい文化とビジネスが生まれる場所を目指す。
建物は、地上19階、塔屋1階、地下4階建て、建物の高さは約97メートル、延べ床面積は約14万7000平方メートル。地下3階・4階=駐車場、地下1階・2階=飲食・食物販フロア、地上1階~4階=商業フロア、5階=食堂、6階=ラウンジ、カンファレンス、バンケット機能を備えた「スカイロビー」、7階=起業家やスタートアップ支援を行う「CIC Fukuoka」、8階~17階=オフィスフロア、18階・19階=「ワン・フクオカ・ホテル」で構成。地下2階で地下鉄「天神駅」と直結する。
出店テナントは130店。うち、九州初出店34店、新業態26店、福岡県内唯一22店。今後、年内に追加8店舗のオープンを予定する。130店舗中30店が飲食店で、総客席数は1800席。コンセプトの「創造交差点」を体現するため、商業フロアにはグローバルに展開する店だけではなく福岡の店も誘致し、アートや音楽など、普段の生活に刺激を与えてくれるような店など、さまざまなコンテンツを取り入れたという。顧客ターゲットは主に30~50代の男女を見込み、インバウンド客の来館も想定して、同ビル3階に免税カウンターを用意する。
地下1階は、レストランが集結したフードホール「iiTo TENJIN」と、福岡グルメや九州初出店の飲食店が並んだ食のスポット「天神のれん街」で構成。出店は、「月島もんじゃ たまとや」(九州初)、「博多一双 雙(たぐい)」など。地下2階は、スイーツや総菜などの食物販店がそろう。出店は、イオン九州が展開する「ビオラ♪ラ♪」、「クリスピー・クリーム・ドーナツ」、「AKOMEYA TOKYO」(九州初)など。このほか、内装に西鉄電車・バスの廃材を活用したタリーズコーヒーなどのカフェもそろう。
地上1階は、イベントや展示会なども開催できるグランドロビーを配置するほか、「シャネル」(1階~3階)やレストラン「THE CONTINENTAL ROYAL&Goh(ザ・コンチネンタル・ロイヤル・アンド・ゴウ)」、カフェ「ピエール マルコリーニ」などがそろう。
2階~4階は、アパレル・ファッションアイテムや雑貨、インテリアなどのショップ、カフェなどがそろう。出店は「メゾン キツネ」「カフェ キツネ」、レディースアパレル「Patou(パトゥ)」、ギャラリー、カフェ、ショップの複合型店舗「スパイラル ガーデン」、「フェイスレコ-ド」、キャップなどを取り扱う「SOUVENIRS(スーベニアーズ)」、「LOVOTストア」(以上、九州初)、「蔦屋書店」、福岡の大賀薬局が展開するコスメショップ「OHGA 1st」など。
5階には食堂「天神福食堂」を配置する。店舗面積は約460平方メートルで、席数は209席。支払い方法は現金不可で、モバイルオーダー(ランチタイム限定)かキャッシュレス決済のみとする。ランチタイムは定食や丼物、カレー、麺類などを提供する。15時以降は、イタリアの食文化の一つで、夕食など本格的な食事の前におつまみやドリンクなどを取りながら会話や交流を楽しむ「アペリティーボ」の要素を取り入れた「アペリティーボタイム」とし、アルコールやデリ、おつまみメニューをそろえる。アペリティーボタイムでは、福岡の飲食店とコラボしたメニューや、かつて天神の「福ビル」にあった喫茶店「喫茶 門」で提供していたミックスジュースを再現するなど、共創メニューも用意する。
館内各所には、日常の中で身近にアートに触れる機会の創出と、活気ある空間を演出することを目的に124点のアート作品を展示する。参加アーティストは、福岡出身の鹿児島睦(まこと)さんやKishiro Sumita(スミタ・キシロウ)さんなど30人。このほか、天神交差点に面した北西側広場には、フラワーアーティストのニコライ・バーグマンさんが手がけた縦12メートル×横8メートルの大規模壁面緑化アート「Future Bloom」、福博であい通りに面した南西側広場には、レアンドロ・エルリッヒさんが手がける、ピクセル型の葉で構成する、木を模したアート「Pixel Tree」を展示する。6階東側テラスには、かつて天神コアの屋上にあった植栽を配置する。
同日、同施設オープンに伴う、オープニングセレモニーが行われ、西日本鉄道の林田浩一社長をはじめ、高島宗一郎福岡市長、服部誠太郎福岡県知事らがテープカットを行った。サプライズゲストとして劇団「ギンギラ太陽's」主宰の大塚ムネトさんが、同施設を模したかぶり物を頭にかぶって登場し会場を盛り上げた。オープン前には、1階入り口と地下2階入り口に、合わせて約1000人の来場者が列を作った。オープン10秒前から、開店を待ちわび列に並んだ多くの客とカウントダウンを行い、10時ちょうどに開業した。
林田社長は「地域の方や事業者の方、行政の方々の協力がなければ、このような施設はできなかったと強く思う。今度は、私たちがしっかりこの施設を運営して魅力あるものに仕上げ、新たな情報文化を発信し続けたい。開発からの約10年間、一緒に汗をかいてくれた方々への恩返し、そして地域の方々への恩返しをしていきたい」と思いを語った。