特集

ディックスクロキ黒木透会長に聞く「天神」
デベロッパー視点で福岡・天神エリアの動向を探る

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■天神エリアの動向

「天神で一番熱いエリアは?」と問うと「天神地下街。次に西通り」と黒木さん。天神の週末人口は約135万人。その約半分が地下を通ると言われているという。雨の日はもちろん、暑さもしのげるとあって、やはり地下街は空きテナントも無く、根強い人気を保っているようだ。次点には西通り周辺を挙げた。

そのほか、相変わらず、あらゆるジャンルのショップオープンが続く「今泉」の名前も挙がった。昨年7月には東京、大阪に続く、第3の旗艦店「TSUTAYA」福岡天神店が今泉にオープン。ファッションやデザインへの関心が高い層が集まる街として、外観にもこだわりを見せるなどし、現在は今泉の目印的存在となっているほか、昨年12月には複合施設「VOID FUKUOKA」も開業。1994年、舞鶴に創業後、親不孝通り沿いに2度の移転をしながらも、2003年に休業したクラブ「O/D」が同施設内に復活を遂げるなど、ますます若者の流れを引き寄せている地域と言える。同社が手がける建物は、基本的に同社はビルの1・2階を物販とし、上階をオフィスとしているが、回遊率も高くなることで「約1年から1年半で、3・4階までカフェや美容室などの入店するように変化するのではないか」という。

大村ファッションデザイン専門学校の学生らが毎年、行っている天神エリアの「買い物行動動線調査」では2005年「大名」、2006年「バナナ・リパブリック福岡」(中央区天神2)に続き、今年の天神の中心軸を「警固神社」と発表。来年は、同所から今泉のカフェ人気やの「ipod」人気などから今泉方面へ移動した「アップルストア福岡天神」(中央区天神2)前との予想を発表するなど、大名から今泉方面へと、はっきりと来街者の回遊動線が変わっている近年の状況下。黒木さんは「大名の土地の高騰により、大名エリアで店舗を構えていたオーナーが今泉に引っ越している状況」と分析している。黒木さんは「今泉は大通りから奥に入ると道が狭く、車も多い。歩道を作るなど、皆がまちづくりをしていくと、もっと進化が見えてくるエリアになるのでは」と加える。

しかし、今泉人気の裏で「大名1丁目辺りを中心に、レンタル面積で1フロア50坪未満の小さな物件が若干値下がりを始めた」(同)というが、「大名1丁目周辺は岩田屋や西通りからの流れてくる買い物客でまだまだ盛り上がりを見せるはず」としており、大名の復活にも期待を寄せているようだ。

2011年、博多駅完成に向けた天神の今後

――2011年のJR九州新幹線全線開通で動き出す博多エリア。新幹線の開通とともに開業する阪急百貨店や東急ハンズなど、現在改築が進んでいるが、天神に対して福岡のもう一つの核である博多エリアの今後についても聞いた。

大学進学や就職などで、県外から福岡に来る場合はまず、分かりやすさから博多駅周辺に住む人が多いという。しかし、1年後には必ずと言って良いほど、天神周辺に引っ越す傾向にあり、やはり「天神が魅力的のようだ」と黒木さん。同社が調査した住みたい場所のアンケートでは、1位=中央区、2位=南区、3位=博多区とやはり天神エリア付近に人気が集中しているという。

また、「博多エリアは天神エリアに対して約5分の1の商圏。この2011年の博多再開発により、良くて4分の1に回復する」(同)と見込んでいるというが、デパートの数が天神に対して5分の1で、さらに深夜人口が少ない博多は同社の戦略対象としては、様子を見ている状況だという。

同社独自の調査結果によると、週末の天神エリアでの若者の消費額は1日3千円だという。「20万円~30万円など大量に消費するのは1部で、天神に3千円落とす若者の消費が天神を押し上げている。この3千円の消費が博多エリアではまだ難しい。ストロー現象で博多駅に着いた途端、天神に流れる可能性もあるだろう」と苦い顔を見せた。

黒木さんは「食事どころは、大名=20代、春吉=30代、西中洲=40代、中洲=50代と、福岡はエリア別に消費者年齢が分かれており、特徴がはっきりしている」とさまざまな角度からもエリアを分析。「大学生などの若年世代が非常に元気」と天神の消費を押し上げている若年世代が変化をもたらしているという。

 まだまだ「天神」人気が強く見られる福岡。2011年に向けた百貨店競争も本格化している。博多駅の完成に合わせて、天神がどう変化していくのか。今後も注目していきたい。

文/編集部 秋吉 真由美

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