■2011年、博多駅完成に向けた天神の今後
――2011年のJR九州新幹線全線開通で動き出す博多エリア。新幹線の開通とともに開業する阪急百貨店や東急ハンズなど、現在改築が進んでいるが、天神に対して福岡のもう一つの核である博多エリアの今後についても聞いた。
大学進学や就職などで、県外から福岡に来る場合はまず、分かりやすさから博多駅周辺に住む人が多いという。しかし、1年後には必ずと言って良いほど、天神周辺に引っ越す傾向にあり、やはり「天神が魅力的のようだ」と黒木さん。同社が調査した住みたい場所のアンケートでは、1位=中央区、2位=南区、3位=博多区とやはり天神エリア付近に人気が集中しているという。
また、「博多エリアは天神エリアに対して約5分の1の商圏。この2011年の博多再開発により、良くて4分の1に回復する」(同)と見込んでいるというが、デパートの数が天神に対して5分の1で、さらに深夜人口が少ない博多は同社の戦略対象としては、様子を見ている状況だという。
同社独自の調査結果によると、週末の天神エリアでの若者の消費額は1日3千円だという。「20万円~30万円など大量に消費するのは1部で、天神に3千円落とす若者の消費が天神を押し上げている。この3千円の消費が博多エリアではまだ難しい。ストロー現象で博多駅に着いた途端、天神に流れる可能性もあるだろう」と苦い顔を見せた。
黒木さんは「食事どころは、大名=20代、春吉=30代、西中洲=40代、中洲=50代と、福岡はエリア別に消費者年齢が分かれており、特徴がはっきりしている」とさまざまな角度からもエリアを分析。「大学生などの若年世代が非常に元気」と天神の消費を押し上げている若年世代が変化をもたらしているという。
まだまだ「天神」人気が強く見られる福岡。2011年に向けた百貨店競争も本格化している。博多駅の完成に合わせて、天神がどう変化していくのか。今後も注目していきたい。