■ゲームで福岡を活性化
福岡市や九州大学、福岡のゲーム会社の産学官連携で環境や観光、リハビリなど社会に役立つゲームを制作する福岡市の委託事業「シリアスゲームプロジェクト」の一環として、「ゲーム産業の発展と観光の魅力向上になれば」(福岡市経済振興局・コンテンツ産業係の山本洋彰さん)と企画された。ゲームはゲームソフト制作会社「エレメンツ」(福岡市中央区舞鶴1)が手掛けた。
好みの観光テーマを選択し、ユーザーがその観光スポット周辺でチェックインするとその場所にちなんだストーリーが読める仕組みで今年4月に第1弾を配信。「福岡は目立つ観光スポットが少なく、ショッピングや九州の観光地へ移動するときの通過点でしかない」とエレメンツの石川淳一社長。「そのスポットを線でつなげば魅力的な観光コースになる」と福岡在住のシナリオライターらとテーマを選び、16本の個性豊かなコースを作り上げた。
■恋愛からホラーまで
櫛田神社や博多川端商店街などを巡る「いつでも山笠体験」、地元の老舗銘菓・石村萬盛堂や明月堂などを巡る「福岡銘菓」など、選りすぐりの博多観光の定番コースのほか、マンガ専門の古書店「まんだらけ」
などを巡る「天神萌え巡り」、物語をヒントに大濠公園にある3つの場所を探す、ゲーム感覚を味わえる「あなたの知らない大濠公園」、特撮怪獣映画の舞台を巡る「怪獣来襲」などをそろえる。
婚活中の女性を主人公にストーリーが進む「パワースポット」、野良猫のアズキを主人公に福岡市鮮魚市場や柳橋連合市場を巡る「魚大好き」、悲しい運命に翻弄される女性が主人公の「悲劇のヒロイン」など、シナリオは恋愛、ヒューマン、ホラーとバラエティーに富んだ内容に。「福岡を舞台にした短編集を読んでいるような感覚で楽しんで」。
■ビジネスモデルに
現在、ユーザーは福岡県民が約7割。「遠方でも仮想の福岡旅行が楽しめるようなコースや、観光コースの口コミなどを投稿できるソーシャルな面も盛り込んだバージョンも検討中」と石川社長。Android
にも対応させ、「皆で福岡を楽しむアプリに育てたい」という。
市からはゲーム産業の発展にもつながるビジネスモデルとしての展開も期待されている。「広告やイベントでの収益も視野に入れつつ、写真やデータを入れ替えるだけで比較的低コストで他地域でも利用できる観光ツールを目指している」という。
旅行者も博多っ子も楽しめる「福ぶら」。単身赴任者や転勤族にとっては懐かしさが味わえるアプリかもしれない。
取材/編集部 秋吉真由美