特集

連携目立つ商業施設、今年売れた商品は?
天神の2011年を振り返る

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■天神のキーワードは「連携」

2011年、天神のキーワードは「連携」。3月の新博多駅開業に対抗しようと、天神地区の商業施設はタッグを組む対抗策が目立った。


We Love天神協議会・まちづくりディレクターの福田忠昭さんは「新博多駅の開業はやはり天神にとっては脅威。回遊性を高めるため、天神は集積をアピールするのみ。博多駅のおかげで天神の商業施設の横のつながりは強化された」という。


1月には大丸・福岡天神店(福岡市中央区天神1)と福岡パルコ(天神2)が母娘での買い回りを狙い、大丸1階のメーンディスプレーにパルコのブランドが提案するコーディネートを飾るなど、40~50代の母親層は大丸、20代の娘層はパルコと両店の特性を生かした「母娘2世代」に絞った販促キャンペーンを展開した。


3月のJR博多シティ開業前にはWeLove天神協議会、天神の各商業施設のインフォメーションスタッフら約40人が水鏡天満宮(天神1)へ出向き、開業目前で盛り上がる「博多」に負けまいと「天神」の商売繁盛を祈願。各商業施設の外壁には、「開業おめでとう。でも、博多駅には負けないぞ!」など新幹線全線開業の祝福メッセージなどを書いた懸垂幕を一斉に掲げ、連携体制を来街者にもPRした。


4月には天神の商業施設に加え、大名の飲食店や美容院などにも参加を募った回遊型キャンペーン「ホップステップ天神・大名」、6月には各商業施設周辺でリレー形式で行う打ち水イベントなども実施した。


年末商戦では、雑貨館インキューブ、福岡パルコ、天神ロフトの3店が「天神ギフト連盟」と銘打ち、クリスマスギフト商戦へ向けた共同販促キャンペーンを展開。岩田屋本店、ヴィオロ、ソラリアプラザ、バーニーズニューヨーク福岡店など6商業施設では、販売促進の女性スタッフら30人がサンタクロースに扮(ふん)し、街中でキャンディーなどを配る企画も。さらに、昨年イムズ単独で行った見知らぬ人とのプレゼント交換企画が、今年はイムズ、ソラリアプラザ、ヴィオロ、天神地下街の4施設で拡大して行われた。


連携は百貨店にも波及。岩田屋三越と大丸・福岡天神店が新春の初売り商戦でタッグを組み、3百貨店の共同福袋「天神御三家袋」を販売するまでに至る。岩田屋三越の太田垣立郎社長は「共同企画で競争し合うことで各店のレベルが上がる。より一層の顧客満足につながれば」と期待を寄せる。


「当初、WeLove天神協議会や商業施設から成る都心界が連携の指揮を執っていたが、今は各施設が自発的に動くようになった」と福田さん。「各施設の販促担当者も顔見知りになり、企画を立てやすくなったのでは。連携の動きが日常的になってきたことは来街者にとっても面白いこと」。


「今後は博多地区との連携も広げ、天神と博多を一つのパッケージにし、県外からも呼び寄せるような動きにつなげたい」という。


■天神のグルメ

福岡市内を中心に月に50食以上食べ歩いているという人気ブロガー・ニシヒロシさんに2011年の天神広域圏の飲食業界の傾向について聞いた。


2011年は、近年のワインブームに加え、お手軽なチョイ飲み志向の消費者傾向が目立った」とニシさん。「ワイン立ち飲み系から派生したスペイン風バル、カフェバーの人気は継続している」という。確かに、今年は福岡市内の複数の飲食店で開催されている「バルウォーク福岡」や薬院エリアの飲食店が合同で企画したはしごイベント「薬院サルー祭り」など各店舗を「チョイ飲み」して楽しむイベントが定着しつつある。


各店舗がオリジナルのピンチョス(おつまみ)とドリンク1杯のセットを700円で提供する手軽さから、普段は行きにくい高級店も気軽に体験できると人気の「バルウォーク福岡」。イベントをきっかけに固定客の開拓にもつながっているという。


2012年は『バルウォーク福岡』に多くの店舗が参加した西中洲エリアに注目したい」とニシさん。「焼きたてのピザにグラスワインを気軽に楽しめる店など、ワインの立ち飲みに個性的な料理がプラスされた店舗が増えるのでは」と予想する。


また、3月にアミュプラザ博多に出店したクリスピー・クリーム・ドーナツが11月、天神地区についに進出した。「ドーナツ人気は来年以降も過熱するはず」とも。


■天神で売れたのは?

天神の流行をけん引する2大雑貨店、雑貨館インキューブと天神ロフトには2011年、もっとも売れた人気アイテムを聞いた。


売り上げランキング1位は、両店ともにスマートフォン関連グッズという結果に。インキューブでは、昨年の約25倍という650種のカバーが登場するなど、スマホの関連グッズが充実。iPhoneやXperiaなどいろんな機種の専用カバーも種類豊富にそろえ、売り場を拡大しているという。「スマートフォンの普及で各メーカーもさまざまな商品をそろえ、選ぶ幅が増えた」と同店営業推進担当の大谷奈美子さん。ロフトでは、カバーだけで約2,100種類をそろえる。両店ともカバーはもちろん、イヤホンジャックアクセサリー、タッチペンなどをそろえる。


2位は、インキューブは節電グッズ。震災直後は節電意識も高く、濡らすと冷えるタオルや熱伝導率が良いフライパンの売り上げが伸びたという。「近年人気が低迷していた湯たんぽも注目されている」と大谷さん。


ロフトは防災グッズがランクイン。商品は前年の2.5倍に拡大。「震災直後には品切れ状態が続いたが、4月末ごろから落ち着き、徐々に売り場を拡大した」と販売促進担当の牛嶋典子さん。保存食やヘルメット、防災ラジオなどの動きが目立っているという。


3位は、インキューブはB.Bクリームなど大ヒット商品も生まれた韓国コスメ。同店は7月に韓国のコスメや雑貨を集めたショップ「Bridge town(ブリッジタウン)」を開設し、手ごろな金額で購入できるシートマスクなど約3000種をそろえている。「韓国での購入をきっかけにしたリピーターも目立ち、ブランドや商品の問い合わせも多い」と大谷さん。男女ともに幅広い世代の人気を集めているという。


ロフトは2位の防災グッズに続き、震災関連で節電グッズがランクインした。ブランケットや湯たんぽのほか、何度も使用できる充電式カイロの動きも良いという。そのほか、「電気を使わない『自然気化式加湿器』も問い合わせが多い」と岩崎さん。


今年は、スマートフォンの普及や震災の影響を受けた商品が目立ったが、来年注目のアイテムについてインキューブは「韓国コスメからブームに火がついた動物系スキンケアグッズに注目」(大谷さん)。「今年話題になったカタツムリのほか、熊の油を使ったものや馬、ヤギのミルクを使った商品など続々と登場している」という。


ロフトは「突然の事故など、自分に何かがあった時のために、保険や葬儀、相続、緊急連絡先などを記しておく『エンディングノート』が注目されはじめている」と岩崎さん。「震災の影響もあり、明日自分の身に何が起こるかわからないという『命のはかなさ』を改めて感じられた1年。家族が困らないように準備する人が増えるのでは」。震災前にも商品はあったというが、震災以降は販売するメーカーが増え、種類も豊富になったという。


――日本漢字能力検定協会が毎年、発表する今年の漢字にはやはり「絆」が選ばれた。百貨店合同福袋の売り上げを震災復興に充てるなど、商業施設の連携にも根っこにあるのはやはり「絆」の文字。震災以降の取材では、どのイベント担当者も「被災地から遠い九州だからこそ頑張らないと」と口をそろえていた。献血の列を取材する際は人の温かさに涙が出た。被災地支援をテーマに開かれた物産展で、涙を浮かべながら九州の応援に感謝してくれた岩手からの出店者もいた。来年も、「遠い九州だからこそ頑張らないと」。




取材・文/編集部 秋吉真由美

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