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天神イムズ閉館、「情報発信基地」として歩んだ32年の歴史に幕

閉館セレモニーの様子

閉館セレモニーの様子

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 イムズ(福岡市中央区天神1)が8月31日、閉館した。

挨拶をするイムズの古場治館長

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 イムズは、三菱地所(東京都千代田区)と明治安田生命保険(現明治安田生命、千代田区)が共同で開発した商業施設として1989(平成元)年4月12日にオープンした。32年間営業し、福岡市が推進する「天神ビッグバン」に伴い、閉館となった。ビルは地上14階、地下4階建ての計18階建て。外観は8角形で、金色の外壁にはオリジナルカラーで作られた有田焼が使われている。施設内は吹き抜け構造で、地下2階から地下1階に上がるエスカレーターにはカーブした「スパイラルエスカレーター」を九州で初めて採用した。過去には、同施設4階に自動車メーカー4社のショールームが入るなど、特徴的な商業施設として話題を集めてきた。イムズの名前は「Inter Media Station」の頭文字を取ったもので、「情報発信基地」の意味を持つ。情報発信基地として、天神のアート、カルチャーなどの最新情報を発信し、多くの人に親しまれてきた。

 2017(平成29)年4月から館長を務める古場治さんは「コロナによる緊急事態宣言下での閉館になってしまったため、このような形でお客さまを迎えることができるか不安な部分もあったが、無事に迎えられて、お客さまに見送っていただける状況になりほっとした」と話した。イムズの施設について「天神はお買い物の街という印象が強いが、イムズはそれに加えてアートを見たり、芝居を見たり、音楽を聴いたりと、都市文化を楽しむ体験のきっかけになる場所だったと思う。体験型の情報を売る店も多くあり、イベントだけではなく、店の情報発信という点でも、ブラブラしながら楽しんでいただける施設だった」と振り返った。

 閉館当日は、仕事終わりに急いで駆け付けた2人組の女性客や、最後に1階から14階まで全てのフロアを見て回った客など、多くの客が訪れた。19時に店舗の営業を終了し、新型コロナウイルス対策のため1階正面玄関でのあいさつは行わず、同施設9階の「イムズホール」で閉館セレモニーを開いた。セレモニーには事前に募集した200人の客が集まり、セレモニーの様子は、同館地下2階に設置した大型ビジョン「オーロラビジョン」や、オンラインでも配信された。セレモニーでは、閉館コミュニケーションのアンバサダーを務める劇団「ギンギラ太陽's」がショート舞台「おしまイムズTHE LAST SHOW」を上演したほか、イムズに縁のある著名人からのメッセージ動画上映、イムズ館長や、同館2階のアパレルショップ「TOMORROWLAND」を運営するアンネ松本の松本隆宏社長、同館12階の飲食店「KIRIN SOW SOW」の納富泰祐店長によるあいさつなどが行われた。

 館長の古場治さんは「2019年の1月に閉館を発表され、それから2年半、長いようで短い、あっという間に時間が過ぎ、この日を迎えた。明日以降この天神の街からイムズがなくなってしまうという事実に、当事者である私でさえも、半分受け入れられない状態」と言葉を詰まらせた。「イムズのイズムが新しく生まれ変わる新しい天神の街、福岡の未来にそのイズムがさらに優しく降り積もっていくことを祈念している。32年間のご愛顧本当にありがとうございました」と締めくくり、拍手の中セレモニーが閉幕した。

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