洋画家・野見山暁治さんの寄贈記念展が現在、福岡県立美術館(福岡市中央区天神5)4階展示室で開催されている。
野見山さんの最新作「忘れた日」2022年(左)と、「みんな消えた」2020年
野見山さんは1920(大正9)年生まれ、福岡県嘉穂郡(現・飯塚市)出身の画家。同展は、野見山さんが2020年、福岡県に37点の油彩画を寄贈したことを記念して開く。同館が所蔵する野見山さんの作品に加え、新作2点を合わせた約60点の作品を展示する。展覧会初日の12月17日は、野見山さんの102歳の誕生日であった。
野見山さんは東京美術大学を戦争のため半年繰り上げで卒業。出兵していた中国の旧満州から病のため福岡に戻り、戦後に福岡市内で画家活動を再開した。その後東京・フランスと拠点を移し、現在は東京都練馬区のアトリエを中心に制作活動を行う。毎年夏の期間は、福岡・糸島のアトリエで制作するという。
作品は、最新作「忘れた日」や東京美術学校卒業制作「妹の像」など油彩画40点以上を中心に、東京で暮らしていた頃の木炭画「≪群像(坑内)≫のためのデッサン」や、ヨーロッパ滞在中に描いた鉛筆画などを展示する。会場は、2020年から2022年に制作された最新作を入り口近くに置き、第1章から第6章へ進むにつれ、過去へさかのぼるように展示する。展示の最後には、野見山さんが1943年に東京美術学校の卒業制作として描いた作品を展示する。
野見山さんは「久しぶりに作品を見て、自分でこんなに描いていたのかと思う。自画像などは古いアルバムを見るようで、あのころはあんな顔をしていたのだと振り返る。以前は使命感のようなもので作品を描いていたが、今はただ楽しく、恐ろしく気楽。描きたいように描いている」と話す。
同館4階視聴覚室では、来年1月14日に同展担当学芸員・岡部るいさんによる講演会「野見山暁治の見たものとは-当館コレクションを通して」、2月5日は同館学芸課長の西本匡伸さんによる講演会「野見山暁治と福岡と」を開く。講演会はそれぞれ14時からで、参加無料。事前予約不要で先着順に受け付ける。
開催時間は10時~18時(入場は17時30分まで)。月曜、年末年始(12月28日~来月4日)休館。観覧料は、一般=800円、高大生=500円、小中生=300円。来年2月12日まで。