福岡の夏の和菓子「博多水無月(みなづき)」が現在、福岡市およびその近郊の和菓子店で販売されている。
「和菓子 吉乃屋」「和菓子司 山月堂」「竹鶴饅頭本舗」「和菓子処 清致庵」の博多水無月
旧暦の6月と同じ名の「水無月」は、三角形でういろうの上に小豆をのせた和菓子。昔は夏を越すことは一大事とされ、6月30日を1年の半分のみそかとし、ここを越えると無事に年を過ごすことになるといわれていた。現在も日本各地で水無月を食べ、邪気を払う習慣が続いている。「博多水無月」はこの伝統文化を基にした和菓子で、「博多の街に夏呼ぶ和菓子」として1999(平成11)年に、福岡市和菓子組合の研究会メンバーにより販売が始まった。おはぎやさくら餅のように、誰もが知り食べたことがある和菓子を目標に、「100年後のスタンダード」を目指して、今年で25年目を迎える。
2020年~2022年に開催した「博多水無月」共同催事は、新型コロナウイルス感染症の流行で入店規制がかかることもあったが、売り上げは毎年拡大し好調だったという。福岡市和菓子組合理事長の松本弘樹さんは「『厄よけの和菓子だから、こんな時こそ食べないと』『これを見ると博多に夏が来たって感じがする』など、お客さまからの言葉に勇気づけられた」と振り返る。
今年の博多水無月のテーマは「我が志(和菓子)は続く どこまでも…」。歴史を持った和菓子の継承、継続という思いを込める。小豆とわらび粉を主原料にしササで巻くという決め事の下、配合や製法は各和菓子店の職人に任せ、各店がそれぞれの博多水無月を作り販売する。販売は「富貴」(春日市伯玄町2)、「兎月(とげつ)」(六本松2)、「加美家製菓」(唐人町1)、「今田和菓子舗」(博多区吉塚本町)など、福岡市および近郊の和菓子店19社・28店舗で行う。
このほか、各店の博多水無月が一堂に集まる共同催事を、6月6日~12日に福岡三越(天神2)、6月21日~30日に博多阪急(博多駅中央街)で開催する。福岡三越では13店舗・26種類、博多阪急では15店舗・29種類を販売する。
松本さんは「『100年後の博多のスタンダード』を合言葉に創作した博多水無月も、今年ではや25年。和菓子店、お客さまと一緒に歩んできた。これからも熱い思いで作り続け、次の世代に受け継いでいけたら」と意気込む。
各店での販売は7月31日まで。