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福岡に三つ星店が誕生
「ミシュランガイド福岡・佐賀2014特別版」が発売

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■福岡に三つ星店が誕生

ミシュランガイドは1900年、市街地図や宿泊施設、駐車場やガソリンスタンドなどのドライブ情報をまとめた小冊子として創刊されたのが始まり。1926年から「美味しいレストラン」が入る宿泊施設に星を付け始め、1931年から3段階の評価を開始した。また、1930年代より覆面調査員による調査方法が導入され、今では世界23カ国を対象に発行されている。

東京、関西、北海道、広島に次ぐ国内5エリア目の発行となる「ミシュランガイド福岡・佐賀2014特別版」では、星付きのほか、星は付かないものの3,500円以下のコストパフォーマンスが高い「ビブグルマン」と称した調査員が薦める店など計489店(福岡368店、佐賀121店)の飲食店・宿泊施設が掲載された。

 「そのために旅行する価値がある」と評される三つ星には、すし「行天」(福岡市中央区平尾1)と日本料理「嵯峨野」(博多区住吉2)の2店が選ばれたほか、二つ星には、ふぐ料理「い津み」(住吉2)、日本料理「とき宗」(西中洲)、天ぷら「天孝」(薬院2)など12店、一つ星には43店が選ばれた。ビブグルマンには、ラーメン「大砲本店」(久留米市)など「博多名物」も見事に名を連ねた。

出版記念パーティーで日本ミシュランタイヤのベルナール・デルマス社長は「アジアの玄関口として福岡県は有名。新鮮な食材やおいしい料理があること福岡・佐賀の魅力の一つ」と語り、「このガイドを持って福岡・佐賀で温泉夜食を味わう旅をしたい」と話した。

■二つ星「い津み」、星へのプレッシャーも

中洲で大正12年に創業した老舗のふぐ料理店。包丁を2度入れる二枚引きで刺身を提供するのが特徴。席数は100席で、料金は、昼=3,500円~3万円、夜=1万円~3万円。

「ミシュランガイドは世界で知られるグルメ本。福岡の数多い店の中でも選ばれたのは光栄」と話すのは4代目の宮武宏史社長。調査の噂を聞いた周囲から「い津みは取って当たり前」と言われ、プレッシャーも感じていたという。「今後も今まで通り、目の前のお客様に良い料理を出して、普段通りのサービスをしていきたい」と話す。

「若年層にもお祝い事など何かのタイミングで来店いただけるきっかけになれば」と、最近ではベイサイドプレイス博多(築港本町)で低価格で提供する期間限定の「夏ふく小屋」のプロデュースを手掛けるなど、幅広い活動を展開している。「また行きたいと記憶に残る店になれるよう、今後も変わらずに精進していきたい」と話す。

■三つ星「行天」、開業5年での快挙

すし職人の祖父の影響を受け、山口・下関出身の行天健二さんが2009年に下関で開業、2012年に福岡に移転したすし「行天」。開業から約5年、31歳の若さでの三つ星評価となった。

出版記念パーティーでは、驚きや緊張した面持ちでインタビューに応えていた姿が印象的だったが、発表から数週間が経った今の気持ちを伺うと「ミシュランを取る目標は頭の中にあった」と行天さん。「三つ星は『今後すし業界をどうしてくれるのか』という、ミシュランさんからの若手への期待を込めたメッセージと受け止めている」と冷静だ。

16坪の店内にはカウンター10席のみ。昼は8,000円から、夜は15,000円のコースを用意する。「うちの魚を否定することは、日本の海をも否定することにつながる」と自信のある食材を手にかける。

取材中も鳴り続ける予約の電話。「喜んでいる暇はない。求められるには次を考えないと」と8月には「三つ星」の称号によりふさわしい店舗にするため内装も刷新するという。プロ意識の高さに脱帽だ。

「若い人がカウンターに座って食べる姿を増やしたい」と行天さん。「印象に残る味を目指し、より一層感謝して、すしで恩返ししていきたい」と話す。



取材・文/編集部 秋吉真由美

©MICHELIN

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