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人気再燃で沸く福岡市動物園
100万人目指し、ユニーク企画で奮闘

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■動物の生態に近い「行動展示」導入へ

1953(昭和28)年8月に開園した福岡市動物園。入園者数は、1973年から100万人を超え、中国から期間限定でジャイアントパンダが来園した1980年には過去最高の172万人を記録。しかし、アジア太平洋博覧会が開催された1989年より100万人を割り始め、レジャーの多様化も手伝い2004年には63万人台にまで落ち込んだ。

2006年より、年間入園者数の目標を100万人に据えたリニューアルの20年計画に着手。老朽化した施設の改修のほか、動物の生態に合わせた行動展示の導入を始めた。ゾウの鼻を間近に見られるガラスの筒管「ノーズチューブ」を新設したアジアゾウ舎や、昨年9月には動物をさまざまな角度から観察できるマレーグマ舎やヒョウ舎などを集めた「アジア熱帯の渓谷エリア」が完成し、人気の再燃を後押ししている。

SNSや独自企画で魅力発信

後押しの大きな要因となったのは、フェイスブックやツイッターなど4つのSNSとブログだ。昨年4月にはコミュニケーションアプリ「LINE」のビジネスアカウントを動物園で初めて開設するなど意欲的に展開。SNS作戦は市の広報課や経済観光文化局などを経て昨年4月に同園の企画運営担当となった濱田洋輔さんが引っ張る。

「観光部署にいたにもかかわらず、動物園の魅力を知らなかった」と濱田さん。担当した直後、リニューアル計画や飼育員の話の面白さに衝撃を受け、「情報発信をしていくべきだ」と奮起したという。「動物園には大々的に発表するほどではない、ブログやツイッターで発信するいわゆる『小ネタ』が毎日転がっている」と濱田さん。ほぼ毎日更新しているブログには、アジアゾウの「はな子」の頭に草が乗り、「モヒカン」スタイルになっている様子と合わせてゾウが土をかぶる習性を紹介したほか、誕生日を迎えた動物にバースデーケーキ仕様の食事を与え、見慣れないエサにとまどっている様子を紹介するなど、飼育員やそばにいる職員の目線で伝える記事が並ぶ。

また、濱田さんは新たなイベントも続々と企画。おからをご飯に見立て、ニンジンやバナナなどの具材を海苔で巻いた恵方巻きをマレーグマにプレゼントした節分企画や、残念ながら湯には入らず失敗に終わったが、猿山にゆず湯を設ける冬至の日企画、動物たちにカボチャをプレゼントしたハロウィーン企画など季節に合わせたイベントをはじめ、不使用の獣舎を使いエサの試食や展示を行った「エサカフェ」、独身の雄キリン「キーボー」のもとへとやってきた「お嫁さん」紹介、夏休み期間中、園内にかき氷やジェラートなどの冷たいスイーツを集めた「氷フェス」などのユニーク企画を次々に実施。人気ゲーム「妖怪ウォッチ」とのコラボ企画まで飛び出した。

施設リニューアル効果もあり、一昨年前までは年間で100件程度だった報道陣の取材数も昨年度には340件に上り、必然的に入園者数増加につながった。「お客様が多いこと、マスコミで紹介されることは飼育員も嬉しい。今では飼育員からイベントのアイデアをもらうことも増えた」と濱田さん。「一人では何もできないので、園全体が前向きに動いているのがうれしい」と話す。「来年はひつじ年。今、羊担当と企画を練っているので期待して」とも。

写真/福岡市動物園提供)

100万人目指して

子どもの笑い声とともに走っていた豆汽車「ポッポ号」は531日に60年の歴史に幕を閉じた。正門付近の再整備工事に伴う運行停止で、最終日には子どもたちはもちろん、幼少時に乗った記憶を懐かしむ大人たちが大勢駆けつけた。

あまりの人気ぶりに列が途切れず閉園時間の17時を過ぎての出発となったラストラン。拍手と歓声、紙吹雪がポッポ号を迎えた――。20年計画では、この豆汽車跡地に総合案内所やレストラン、動物情報館などを集めた複合施設が誕生する。園外からレストランのみの利用も検討中のほか、地下には駐車場もできる予定だ。

20年計画当初、リニューアル後に掲げていた目標の入園者数は100万人。その目標は新生動物園の完成を待たずして手が伸びる勢い。「支援につながる地元企業とのコラボ企画なども現在模索中で収益改善にも取り組みたい」と濱田さん。「リニューアル効果が落ち着いてきた今からが勝負。世間に注目してもらえるような話題を引き続き提供していきたい」と目を光らせる。


取材・文/編集部 秋吉真由美



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