特集

「世界のゲームの中心に」VOL.1
ゲームクリエーター注目の団体「GFF」とは?!

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■ 「世界の子どもが遊んでいるゲーム」MADE IN FUKUOKA 

 ゲームソフト業界には大きく分けて2つの業種がある。1つは「スクウェア・エニックス」「コナミ」「セガ」「バンダイナムコゲームス」など主にソフトの「販売」を手がける「パブリッシャー」、もう1つはソフトの「開発」を手がける「デベロッパー」である。ゲームに関心がない人にまで知られたタイトルに「ドラゴンクエスト」があるが、2004年11月に発売された「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」の販売は「スクウェア・エニックス」が行い、開発は福岡を拠点とした開発会社「レベルファイブ」が担当した。そのほか、「ダーククラウド」「NARUTO-ナルト- ナルティメットヒーロー」シリーズ」「.huck」シリーズ、「ONE PIECE」シリーズなど国内外で累計100万本以上の販売実績を持つタイトルが福岡を拠点としたゲーム開発会社で制作されている。 

 「世界中の子どもたちが遊んでいるゲームがいくつも福岡で作られていることを知っていますか」。2003年、福岡を拠点としたデベロッパー3社、「レベルファイブ」「サイバーコネクトツー」「ガンバリオン」はゲームイベント「GAME FACTORY FUKUOKA 2003」を開催した。「デベロッパー主催」のイベントは業界の注目を集め、福岡在住のゲームに関心のない層にダイレクトに存在を伝えることに成功した。このイベントをきっかけに、福岡・熊本のゲーム会社7社が集まり「GFF(GAME FACTORY'S FRIENDSHIP/GATE FOR FUTURE)」を設立、2005年に「世界に通用する技術開発と人材の育成」を目的に九州大学と提携した。そして2006年、デジタルコンテンツ産業を推進する福岡市が「ゲーム産業」に乗り出し、「産」「学」「官」で組織された「福岡ゲーム産業振興機構」が全国で初めて設立された。

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■ 総入場者数4万人、「GFF Game for Future 2007」 

 2003年の開催から4年の間に、ニンテンドーDSやプレイステーション・ポータブル、Wii、Xbox360、プレイステーション3など高性能ゲーム機が販売され、ゲーム業界は1兆円市場に成長。GFF各社もヒットタイトルを手がけ、2006年秋にはレベルファイブがパブリッシャー事業参入を発表。2007年2月に発売されたニンテンドーDS「レイトン教授と不思議な町」が初回21万本を即売するなど好材料が揃う中、GFFは2度目のイベントである「GFF Game for Future 2007」を開催した。

 同イベントでは「ゲームものづくりの現場」をテーマに天神エリアの中心にある複合商業施設の1階にあるイベント会場2カ所に、ゲーム体験コーナー「EXPERIENCE」 と、ゲーム制作の関連した資料を展示した「EXHIBITION」 を設置。「EXPERIENCE」コーナーでは、「NARUTO-ナルト-疾風伝 ナリティメットアクセル(体験版)」「ワンピース アンリミテッドアドベンチャー(映像出展)」「太平洋の嵐5」「レイトン教授と不思議な町」「JUMP ULTIMATE STARS(体験版)」「現代大戦略2007」など、各社が手がけたソフトを体験するコーナーを設け、シルバーとブルーの衣装を着たゲームインストラクターが訪れた人に使い方や攻略法などの説明を行った。「EXHIBITION」コーナーでは、キャラクターのデザインを体験できるブースや、プレゼンテーションを行った際の企画書、キャラクター設定、絵コンテ、技コンテ、ゲームバランス調整レポート、デバッグレポートなどの「秘蔵資料」なども展示された。

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■ 業界のトップクリエーターによる「ゲームの未来」

 同イベントの最終日、ゲーム業界のトップクリエーターによる「ゲームクリエイターズサミット」が西鉄ソラリアホテル内で開催された。ゲームデザイナーの堀井雄二さん(代表作「ドラゴンクエスト」)、コナミデジタルエンタテイメント・クリエイティブオフィサーの小島秀夫さん(代表作「METAL GEAR SOLID」)、セガ R&D クリエイティブオフィサー ・NEソフト研究開発部部長の名越稔洋さん(代表作「龍が如く」)、ソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンスタジオ制作1部 シニアゲームデザイナーの上田文人さん(代表作「ICO」「ワンダと巨像」)をゲストに迎え、MCをエンターブレイン社長でファミ通グループ代表の浜村弘一さんが務めた。  

 「ゲームの未来」をテーマに行われたトークセッションでは、「ゲームをすることで物語やメッセージをもらったりするが、これからは『与えるもの』が『何か』をはっきりさせた方がいい」、「物語性があるものはゲームとしての強度がある。世界観の構築や、サウンドやグラフィックを取り込んだエンターテインメントを作っていきたい」「『ゲームの世界』に行ったら、ある程度の時間で『現実』に戻してあげられるということも考えたい」などアイデアが交わされた。「クリエーティブの要素」については「見えない人を喜ばせることが仕事だから、人を解っている人」、「ゲームの作り方がカジュアルになってはいけない。ベーシックな部分を大事にした方がいい」などの意見が出た。途中、「ゲームクリエーターになっていなければ何をしていましたか」という質問に、浜村さんが「マジシャン」、名越さんが「魚屋か水商売」と答えて会場の笑いを誘う場面もみられた。

 最後は「地元でゲームを作るということで、今まで銀行や自動車会社などに使われていた才能がゲーム業界にもくる可能性が出てくる。大阪や京都、名古屋などの地方都市でも同じようなことが起きると、ゲーム業界に色んなタイプの人が入ってきて、いろいろな可能性が出てくる。ここで行われていることにすごく注目しているっていうのは『ここから始まる何か』があるからだと思う。このイベントが成功するということはゲーム業界全体において素晴らしいことだと思うのでぜひ頑張ってください」という浜村さんの言葉で締めくくられた。

■ GFFが目指す「ゲームの未来」とは?

  2007年4月5日、任天堂(本社=京都府)が2006年度の業績予想を9,660億に上方修正した。ゲーム業界全体の2005年度のゲーム機・ゲームソフトの出荷金額は1兆3,598億円(国内が約3,984億円、海外が9,613億円)で、2006年度は更に上回ると予測される。また、2006年8月に経済産業省が発表した「ゲーム産業戦略-ゲーム産業の発展と未来像-」には、「日本のゲーム産業が世界をリードしていく」「日本のゲーム産業が社会や国民から広く支持を受ける」の2つの「未来像」を実現していくため、今後5年間、「開発戦略」「ビジネス戦略」「コミュニケーション戦略」の3つの戦略に産業界、学界、国が一体となって取り組んでいくことが記されている。 

 このようにゲーム産業を取り巻く環境が拡大するなか、GFFが目指していくものは何か。GFFの会長を務めるレベルファイブの日野晃博社長は「面白いゲームを自分たちの手で発信し続けること」と言う。「そのためにはゲームクリエーターが十二分に力を発揮できる環境を整え、僕らも多くの知識を身につけていかなくてはならない。現在、九州大学と連携しているプロジェクトはさまざまなことを見せてもらえるので非常に楽しくやっている。いろいろな人がゲーム業界に入ることでゲームが面白くなる可能性が増えていく。今回のイベントでは社外秘と言える資料も展示した。これは、僕らがどんなことを行っているかをしっかり伝えることが大事だと思うから。このイベントを機に『ゲーム業界で自分を試したい』という人が多く出てきてくれることを期待している」と話す。

 現在、GFFは、「世界が目指すゲーム産業の拠点になる」を合い言葉に「福岡ゲーム都市宣言」を掲げ、月に1度の会議を重ねている。プレイステーション・ポータブル、ニンテンドーDS、Wiiなどの「新世代のゲーム機」が出そろい、今後は「ゲームソフトの力」が試される時期が続く。ゲーム業界全体が「日本のゲーム産業が世界をリードしていく」という位置のもとゲーム開発を続けるなか、GFFは「世界中で楽しんでもらえるゲーム」をどのように追求していくのか。今後も注目していきたい。

GFF

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