■トーストが無料の「モーニング」
愛知が発祥の地とされている「モーニング」とは、コーヒーを注文すると無料でトーストやサラダが付いてくるという朝食のサービス。
1950年代ごろ、喫茶店が多い愛知県一宮市でコーヒーにピーナツやゆで卵などを付けたサービスを始めたことがモーニングの始まりといわれている。
「以前愛知を訪れた際、早朝にもかかわらず、皆が喫茶店で一斉にモーニングを食べていたことに驚いた」と久原さん(写真)。「愛知の知人によると、休日の朝は家族そろって喫茶店へモーニングを食べに行くのも珍しくない」という。
福岡にも駅周
辺の店舗にはドリンクとトーストやサンドイッチなどがセットになった「モーニングセット」はあるものの、「朝が遅いエリアと言われる福岡でのモーニングは根付きにくい」という。集客が見込めない上に利益の少ないモーニングサービスだが、「単独店舗で行うのではなく、一斉に行えば店舗の認知度も上がるのでは」と発案。「朝の喫茶店が家族のコミュニケーションの場にもなるし、朝食は健康面にも良い。トーストサービス
で利益が出なければ、別にモーニングセットでもいい。まずは朝カフェの楽しさを訴求したい」と呼びかけた。
昨年4月に初めて実施し、モーニング営業の経験のない店舗を含む9店舗が参加した。2回目となる今回は、「Benir cafe(ベニールカフェ)」(福岡市中央区警固2)、「マヌコーヒー大名店」(大名1)、「Motoy(モトイ)珈琲」(赤坂3)、「SWEETS&CAFE Amis(スイーツアンドカフェ アミス)」(白金1)、「DESSERT DINER(デザートダイナー)」(六本松2)など計15店舗に増えた。開始後に評判を聞きつけた店舗が途中からの参加を希望するなど、運営側にも好評という。メニューは、フレンチトーストにサラダやフルーツ、自家製パンとスープのセット、具材を挟んだパンケーキなど、各店オリジナルのメニューがそろった。
■福岡のカフェを応援
「行きつけ以外にも、店舗の存在を知ってもらうきっか
けになっているようだ」と話すのは、初回から参加しているベニールカフェの店長・真木めぐみさん(写真右)。「通常もモーニングセットはあるが、モーニング営業をしていることをより多くの方に知ってもらえるようになった」と話す。
また、リピーター作りや回遊する楽しみを作ろうと、
3つのスタンプを集めるスタンプラリー企画も盛り込んだ。
「朝の営業を行う事で心身ともに健康になり、普段より新鮮な気持ちで営業できる。それがお客様へのホスピタリティ向上にもつながれば」。
「幼いころは、親戚が営む喫茶店のピラフがお気に入りだった」という久原さん。高校時代には街の喫茶店が友人同士のたまり場になった。「友人と恋の話とかして、大人に半歩入ったような空間が好きだった」。
カフェ好きが高じて2001年に同サイトを設立。カフェを集めたさまざまなイベントの企画も行い、店舗間の連携を取り持つ「福岡のカフェの広報マン」として活動し、店舗側の信頼も厚い。「個人経営の店は、オーナーが体調を崩すと閉店に追い込まれることも。皆の行きつけのカフェがいつまでも残れるよう、個人で頑張っている店の相談役として応援できれば」と笑顔を見せる。
取材・文/編集部 秋吉真由美