市内の飲食店で開かれたある日のセミナーでの一場面。ヘアスタイルのアドバイスに先行して、参加者の指の長さや顔のパーツの高さなどをじっくり見るのは、福岡を拠点に活動する美容師・義永大悟さん。「モテ髪師」の肩書きでメディアなどでも取り上げられ、予約が殺到している注目の「人」だ。似合う髪型を提案しながら、恋愛相談や「モテる」秘訣(ひけつ)のアドバイスなども合わせて行う点が人気を集めている理由だという。
会場では、指の長さや目の位置、骨格などで恋愛傾向や似合うファッション、その人の「魅せ顔」を判断し、ヘアスタイルを決めていくという大悟さんの話に、女性参加者は真剣に耳を傾けていた。
――大悟さんが「モテ髪師」と名乗り始めたのは、約10年前。美容学校卒業後、19歳でアシスタントとして福岡・大名の美容室で勤め始める。約8年間勤め、本店の店長の座まで上り詰めた後に独立し、飲食店を併設した美容室を開業するが業績振るわず。経営から降りる「失敗」も経験した。
「その後1年間は、美容室開業を目標に昼は美容師、夜は飲食店のアルバイトと死にもの狂いでお金を貯めた」という大悟さん。バイト生活をしながら、新たな美容室のウリを考える中、「大悟さんに切ってもらうと彼氏ができる」という顧客の声を思い出し、「俺の技術には男心をくすぐる何かがあるぞ」と確信。「モテ髪師」という肩書きを思い付いたのだという。
準備期間を経て2008年に無事、薬院に1号店の美容室「PEACE」を開業。独学で学んだ心理学を武器に「恋愛アドバイスもできる美容師」として接客を始める。完全予約制で、個室でじっくり施術、アドバイスを行う。「来店時には下を向いている女の子も、帰りには表情が劇的に変わる。自分に自信がついた顔を見るのが本当に面白く、やりがいがある。やめられないっすね」。
「モテ髪師」という異名が全国放送のテレビ番組にも取り上げられ、昨年1月には東京・表参道にも店を出店。20人の新規予約枠に5000件の電話が鳴るほどの人気で、同12月には福岡・大名にも店を構えた。今年8月には博多駅近くに4店舗目を出店する予定だ。
現在はセミナー講師などの依頼も舞い込み、全国を飛び回る日々。2011年には各方面のスペシャリストが講師を務める、「いい女」を目指す「フクオカ美女大学」を立ち上げるなど、活動は多岐に渡る。
「『モテ髪』とは『自信髪』。モテるには自信を持つこと、自信を持つには自分を知ること」と大悟さん。「これからも福岡をはじめ、全国の女性の自信を引き出し、魅力的にするお手伝いができれば」と目を輝かせる。
取材・文/編集部 秋吉真由美
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