特集

大名、今泉、天神の通りに新名称
ユニーク名称で街の回遊性向上へ「まちめぐりナビプロジェクト」

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■街の回遊性向上を目指して

地元住民らが中心となり、数ある通りに呼び名を付けて、街の回遊性の向上を図るプロジェクト「まちめぐりナビプロジェクト」。ホテルや観光案内所の「場所を尋ねられても、番地の情報だけでは説明が困難」「入り組んだ道が多い大名などでは目印も曖昧」という声から、2006年にWe Love 天神協議会が中心となり、社会実験としてスタートした。


実験では、地域住民や商業関係者らがワークショップやアンケート調査で仮の通り名称を決めた。決まった通り名称を示したマップの配布や、近くの建物には名称プレートを取り付けた。実験後の調査で、アンケートに答えた来街者の約8割が「街歩きが分かりやすくなる」と回答。「迷う回数や立ち止まる回数が減る」「場所を説明しやすくなる」など来街者に好評だったことから、福岡市中央区主催で2007年より正式名称化へ向けて活動が本格化した。現在までに大名、今泉、天神の3地区の計48本の「通り」に新名称が付けられている。



■通りの個性生かしたユニークな名称も

通り名称が決まるまでの流れはまず、地区の商店街組織、町内会長、地域団体の代表者ら10~20人により、名付ける対象の通りを選定する。選定後、地区の住民や店舗に呼びかけ、名称案を挙げるワークショップを実施。実際に通りを歩くなど検討を重ね、絞り込んだ名称案を来街者や住民らが投票し、決定する。


「ネーミングはその場所の古い地名が採用されたものや、通りの特徴を見て分かりやすいようにと、シンボルや目印となる建物の名前が使われたものも。地元の方の思いが反映されている」(福岡市中央区区政推進部企画課の高士修さん)という。


2007年度の取り組みの対象となった大名1、2丁目地区は、昔呼ばれていた地名を使った「紺屋町小路」「新雁林町通り」など14本の通り名称が誕生。2008年度対象の今泉1、2丁目地区は、春に桜が咲く場所には「桜通り」、歴史も知ってほしいと、歌人・大隈言道が和歌に専念するために隠棲したところを指す「ささのや」を使った通り「ささのや通り」など7本。


今年度対象の天神1~4丁目地区は、赤煉瓦文化館にちなみ「赤煉瓦通り」、福岡市役所と天神中央公園をはさんだ通りには分かりやすく「市役所通り」、通りの形がアルファベットの「L」の形をしていることから「エル通り」、飲み会帰りのビジネスマンや若者がぶらぶらと歩いているイメージから「ぶらぶら横丁」と名づけられた通りなど、個性を生かし、ユニークさを交えた27本が生まれた。



■地域活性化のきっかけ作りに

来年度より春吉、渡辺通り、西中洲地区の名称決めの取り組みが始まる。高士さんは「春吉地区は地域イベントなども活発。名称を付けるほか、面白い活動が展開できるのでは」と話す。


現在、大名地区には通り名称を標示したプレートも設置されており、着々と認知度は上がっている。今泉地区は今年度、天神地区は来年度中にプレートが付けられる予定で「地図への表記も徹底し、地道に名前の定着を目指す」という。


10年後、20年後に各通りに店舗を構える店主らが一丸となって『○○通り発展会』のような、地域の活性化を目指す組織が誕生し、街づくりへの取り組みが広がっていく。このプロジェクトがそんなきっかけ作りになればうれしい」と期待を寄せる。




取材・文/編集部 秋吉真由美

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