福岡出身のアーティスト・森ナナさんによる個展「瞬間」が現在、「gallery other」(福岡市中央区平尾5)で開催されている。
森さんは福岡の書家の家庭に生まれ、幼少期から書に親しんできたという。16歳から作品制作を始めた。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。2018年と2021年にはイムズでライブパフォーマンスを行った。森さんの作品は墨と筆と和紙を使い一筆書きで書く。福岡で個展を開催するのは今回が初めて。
森さんは「書が元々持っている、文字以前の感覚のようなものや力があるのではないかと感じ、追求している」という。会場では2016年~2022年に制作した、3点の新作を含む「Nucleus」シリーズと、アクリル絵の具を使った「色の書」シリーズの計17点を展示する。
森さんは「墨は自分の無意識部分が出るので、うそがつけないところや、ちょっとした筆の動きも出ること、塗り重ねることができない厳しさ、その日の気温や室温・水の量や筆の状態で出たり出なかったり、書いている時は真っ黒で、乾燥していくにつれて表情が出てくるところがある。色の作品は色の中に自分が入っていける感じがあり楽しい」と話す。
「(作品は)書こうと意識すると書けなくなる」とも。「自分が無意識の状態で、書いてその紙の向こう側から何かが来る瞬間があるから、その瞬間のものを残している。こう見てほしいというのは特にない。自由に見てもらえたら」と森さん。
開催時間は13時~19時。水曜・木曜休業。森さんの在廊時間は15時~18時。入場無料。2024年1月14日まで(12月31日~1月3日は休み)。