百貨店特有の商品カテゴリーに分類したフロア展開ではない、雑貨や食品、アパレル、コスメなどさまざまなジャンルをミックスした「ライフスタイル型フロア」として誕生した「ラシック福岡天神」。「30代~40代の福岡の大人の女性」をターゲットに据え、ファッションアパレル・雑貨を展開するノースゾーン「Ville」、趣味雑貨やフードをそろえるセンターゾーン「Bazaar」、生活雑貨や趣味雑貨をそろえるサウスゾーン「Maison」の3つで構成する。
福岡女性のニーズに合うフロアとは?――2012年10月、同社グループの東京・福岡の女性スタッフでプロジェクトチームを立ち上げ、主婦やOL、販売員、マスコミなど福岡の女性100人にアンケートやインタビューを行いし、「福岡の女性」を徹底調査した。「東京と福岡の女性は生活のリズムに違いがある」と同フロアを担当したマネジャーの曽根ゆかりさん(写真左)。福岡の女性の特徴として、「通勤時間の短い→自分磨きに余裕がある」「料理教室など習い事や趣味も多い」「休日は車で小旅行→行動範囲が広い」「コミュニティーが狭いが深く、プチギフトなどの習慣がある」などを挙げる。
「コンパクトシティーで街で知り合いに会うことも多いためか、福岡の女性は一言で言うと『小ぎれい』」と曽根さん。「目も肥えており、ホンモノ志向」とも。「バッグの中身も合わせて調査したがキラキラや可愛いものが大好き。職場のデスク周りは自分の空間」。その「福岡の女性の関心をフロアに反映させたい」と西日本・九州初の店舗のほか、出店企業と共に練った日本初の新業態の導入にもこだわった。
出店店舗は、日本初9店舗、西日本初9店舗、九州初18店舗を含む計58店舗。200社に声をかけ、コンセプトに賛同した55社が顔をそろえる。
キッチン雑貨をそろえる「オフノオンキッチン」、大賀薬局がプロデュースするコスメ雑貨「オペレッタ」、趣味雑貨「フーチュラ」などの新業態や、西日本初出店のオリーブオイルを使ったプレミアムポップコーン専門店「パロミータス」、タイ発アロマブランド「カルマカメット」などが並ぶ。改装前の直進だった動線は「街を歩いて欲しいものを探してもらえるよう、あえて右に左に曲がるような動線に仕上げた」という。
女性6人のプロジェクトチームで考案した女性専用の化粧室も豪華。国体道路側に設けた化粧室「LaLaLa Room」には、個室のドレッサールームやソファなどを用意。ドレッサー横には傘立て用のフックを付けるなど、女性ならではの気配りも反映されているほか、その日のコーディネートを「自撮り(自分で撮影)」できるデザインフレーム付きのミラーを設置するなどユーモアも忘れない。
細かな工夫やこだわった店舗展開に早速手ごたえが。「30代~40代の娘と50~60代の母親の親子や30代~40代夫婦が中心のファミリーなどが買い物する姿が目立つ」と曽根さん。オープン後は全館で115%の来店客数の増加を記録したほか、買い回りも好調でラシックの利用客の約8割は地下2階の食品売り場に流れており、地下2階は約1割売り上げが伸びたという。
福岡の女性のライフスタイルが反映されたラシック福岡天神。曽根さんは「福岡から東京への流行発信や出店企業の都心部への店舗拡大など、この場所から発信する後押しができたら」と目を輝かせる。
取材・文/編集部 秋吉真由美
福岡三越、地下1階に専門店街-計58店舗が出店(天神経済新聞)福岡三越に新専門店街「ラシック」、テナント発表-日本初など58店舗(天神経済新聞)ラシック福岡天神