■天神とともに歩き始めて11年
天神エフエムでの業務のほか、天神エリアマネージメント組織「We Love 天神協議会」事務局での「街づくり」をはじめとする活動、九州最大級の音楽イベント「ミュージックシティ天神」事務局員…。すべて「天神」というキーワードの元に存在する業務は多岐に渡る。
地元福岡の大学を卒業後、イベントの実行委員会など、組織作りに興味を持ち始め、イベント関連の会社に就職。イベントを企画し、経験を重ねていくうちに当時の先輩らと「日々、生活している天神に年越しのカウントダウンイベントが無いのはおかしい!」と奮起。「同じイベントをするなら、街を動かすイベントを」と1999年から2000年に変わるミレニアムの年にパサージュ広場、ソラリアプラザでカウントダウンイベントを開催した経緯を持つ。
「初めて『天神』という街を考えるきっかけになった」と定村さん。また、日本全国に出張に行く機会も多く、「自分の街をきれいにしないと」と自身が住む街を振り返るタイミングも多かったと話す。そして「さらなるリアルな目線で関わっていきたい」と天神エフエムに転職を決めた。
■あなたにとって「天神」とは?
「天神ってどんな街?」-(考え込んで)「元気がある街ですね」と一言。売り上げ、来街者数などデータ以外にも、感じる「元気」があるという。「この『元気』の根源である働いている人、来街者の『動いている人』のパワーの継続のためには、いろんな人やいろんな立場の人が仕掛けていくことが重要」と加える。
「活気はある。しかし、子どもが少ないことが心配」-自身は幼少時代、天神で遊んだ記憶が強く、思い出が深いと語る。「個人的に今、考えているテーマです」。実際、交通量の増加、大型ビルの集中など、子どもが自由に遊べるスペースは確かに減少している。「まだ抽象的な段階だが、『子どもにも思い出が作れる街』を目指して取り組んでいきたい」と目を光らせる。
■敏腕ビジネスマンが木曜夜はDJに
「顔が見えない相手に情報を発信するという緊張感」-「いい緊張感が流れています」と笑う。資料を見て…パソコンを見て…の繰り返しの会議が続く日々。定村さんが「天神に焦点を絞った番組をしたい」と始めた、自身がパーソナリティーを務める木曜夜19時30分から放送中のプログラム「Tenjin post」ではビジネスマンから一変。テンポ良く、かつクールにしゃべるラジオDJ「Sada-Shin(サダシン)」へと変身する。
約1年半、同番組のディレクターを務める天神エフエムの永島亜実さんは定村さんについてこう話す。「街にも、人にも、情報にも、もちろん音楽にも、とにかく思いやりがあって、常に『ハート』を持って接している方。初めてラジオに来られるゲストへの親切さはピカイチ!」と部下にもしっかり尊敬されている様子の定村さん。最近は曲紹介が「DJっぽく」成長してきているとか。でも愛情たっぷりに「横文字にはお弱いようですが…(笑)」とも。
■日々の活力は「天神<お酒?」
多忙な日々を過ごしている定村さんが天神と同様に愛するもの――それは3度の飯より何より「お酒」と定村さん。天神の多方面で活躍している人が情報を発信しているブログ「天神ストリート」で「お酒のある毎日に。」と題し、飲酒量のデータとともにつづった日記で読者の笑いを誘っている。
料理もこなし「得意料理は煮物。食べたいものに合わせて酒を選んで楽しむ。料理がストレス解消法」とも。そのほか、「映画も好き」と会話を弾ませる。日常の一片を描いた、ミニシアター系の作品が好きで、極力、映画館に足を運ぶようにしているという。そのほか、天神の「お気に入りスポット」は、「川が見えるカフェ『コマンタレヴー』」だという。
「至福のときは自宅で、窓際のソファーに腰掛け、西陽を浴びながらワイン片手に過ごす瞬間」。これらのおかげで天神の仕掛け人のパワーが充電され、「天神」の発展へつながっているようだ。
■天神×夢は…
あえて「夢は?」と大きく問う。バーを経営したい、挫折したウクレレや楽器の再挑戦、絵を描きたい…など挙げればきりが無い様子。「幼稚園の頃の夢は画家でしたから」など淡々と話す表情の裏には好奇心があふれている。個人的な夢と併せてもちろん天神エリアでの夢も語ってくれた。
「アジアの中で重要な役割を担う街へ」-現在は、いろんな取り組みに挑戦し、街のあり方としてのモデルケースを作っている最中。目標とする都市は特に挙げず、「自らが天神の良さを模索している」という。
「仕事を含め、定村さんが常に心がけている点は?」と尋ねると「人の気持ちを大事にする」とシンプルかつ、深い返答が。前述の永島さんの言葉通り、「人への思いやりに長けている人」と重なる。
通常業務と天神の街の活性化への活動の両立。ある日のスケジュールは6本の会議・打ち合わせを終え、ラジオ出演。すべての業務が終わった後、会社に戻り、残務と部下のフォローが続く日々。仕事終わりには大好きな酒で充電。それも「天神」を愛して、「アジアでの重要な役割を担う街」という発展を望むからこそ、バイタリティーあふれる毎日を過ごせるのだろう。
今、この瞬間も、天神をつまみにワインを嗜む姿が「今日の天神」を支えている。