特集/コラム

【エリア特集】2006-04-24

「WE LOVE天神協議会」設立で活性化する
天神地区のエリアマネジメント戦略

天神地区が、今、動きだそうとしている。
長年ライバルとして「天神流通戦争」を繰り広げて来た商業施設や地元企業が、2004年の社会実験をきっかけに、共に手を携え、地区としての魅力向上に取り組んでいる。個々ではなく、地区が一体となっての取り組み。その中心となって推進する組織「WE LOVE天神協議会」が準備会を経て、4月13日に正式に発足するにあたり、これまでの活動内容を振り返り、今後の天神地区のエリアマネジメント戦略に迫る。

■ 天神地区の背景と課題


福岡市の中心部に位置し、商業施設や金融機関、市役所、オフィスビルなどが徒歩圏内に集積する九州最大の商業・業務エリア、「天神」。核(コア)となる天神1丁目〜4丁目は、岩田屋・大丸・三越の3百貨店をはじめ、イムズ・天神コア・ソラリアプラザなどの大型商業施設が密集する流通戦争「激戦区」であり、隣接する大名・今泉・春吉地区には、ここ数年で路面店や飲食店が相次いで出店し、多様な魅力とともに地区全体の回遊性が高まってきている。
また、交通では、福岡・九州各地への鉄道・バス路線が天神に集中する上、福岡都市高速道路、博多港ターミナル、福岡空港など、陸・海・空の主要な交通機関が近接し、国内外からのアクセスは他の大都市にはない利便性のある交通体系となっている。その一方で、過密による弊害とも言える交通渋滞や違法駐輪や、郊外店の立地による競争激化により、近年は、都心ならではの問題を抱えるようになってきた。


■ 協議会発足のきっかけとなった社会実験「TENJIN PICNIC 2004」


都心としての課題を解決し、天神地区の本来の魅力を見直すため、2004年、官民協働で社会実験「TENJIN PICNIC 2004」を実施。『「憩いと魅力」を持った道路文化の創造』をテーマとして、歩いて楽しい都心への再生を目指し、実験と検証を行った。
実験内容は、歩行者天国やオープンカフェの実施・検証を行う「アメニティ再生プロジェクト」、大型駐車場の3時間無料化、(自転車を押して通行する)おしチャリロード、一斉清掃などの実施・検証を行う「安全快適環境プロジェクト」、フリンジパーキングを実施・検証する「交通システムプロジェクト」、さらには、地域の負担による自立的運営の仕組みを確立する「天神都心経営プロジェクト」の4つのプロジェクト。
実験により、歩行者用道路やオープンカフェ等の天神地区での取り組みの重要性は確認されたが、継続的にまちづくりを実施していくための推進組織が必要とされ、「We Love 天神協議会準備会」が発足することになった。

関連情報:天神PICNIC 2004

■ 協議会の設立に向けて、準備組織を発足


2004年の社会実験の後、全3回開催された「I LOVE天神フォーラム」。そこで「We Loveまちづくり宣言」の設立が採択され、2005年6月21日、準備組織としての「We Love天神協議会準備会」が発足した。
同準備会は、「We Love天神協議会」の設立に向け、設立時に地域全体で考える場を設定すること、現在の活動を継続することを目的とし、エリアマネジメントに取り組む他地域との交流(視察や視察団の受け入れ)や勉強会を通じ、「まちづくりの将来コンセプト」「協議会の目的・活動・組織体制」「協議会への参加形態・負担の考え方」「今後の施策の方向性」についての将来案を作成した。


■ 「TENJIN PICNIC 2005」


2004年度の成果と総括を継承しつつ、内容を拡大して実施した「TENJIN PICNIC 2005」。
「アメニティプロジェクト」においては、2004年に実施した歩行者用道路やオープンカフェに加え、ストリートパフォーマンスなどにより、来街促進や滞留時間の延長化を図った。また、「交通システムプロジェクト」においては、2004年のフリンジパーキングの他、公共交通利用促進案として、乗ってエコとく!や天神フリーパス、パーク・アンド・ライトを実施するなど、新たな交通環境づくりを目指した。さらに、「グッドチャリライフプロジェクト」においては、快適な歩行空間づくりを目指して、おしチャリロードや駐輪場の利用促進、サイクルポストの利用制限、放置自転車の撤去などを行った。
実験では、多くの取り組みが評価を得ており、これらの取り組みが天神地区の活性化に効果があることを再確認した。

関連情報:天神PICNIC 2005


■ 「天神のクリスマスへ行こう」キャンペーン


天神の商業者、事業者、マスコミ、行政など異業種が一体となり、2001年冬より、天神クリスマス実行委員会を発足、運営を行ってきた「天神のクリスマスへ行こう」キャンペーン。
第5回目となる2005年度からは、同じ考えでまちづくりを実施していた「WE LOVE 天神協議会準備会」が、このキャンペーンを継承して実施することになった。キャンペーンは、クリスマスをテーマとした街づくりを通じて、都市景観の向上、夜間の安全性の向上、モラルの向上につなげ、天神の集客・回遊性の向上を促進させることを目的にしたもので、2005年は、光のファンタジーと題したイルミネーションをメインとして、音楽祭やイベントなどを実施し、クリスマスムードを盛り上げることで来街者に天神の魅力をアピールした。また、来街者のクリスマスムードを盛り上げるため、クリスマスオリジナルよかネットカード・バスカードをはじめ、エコカイロ、オリジナルバッチなどの「天クリ」グッズの販売も行った。
さらに、12月には、準備会の有志メンバーが、イルミネーションと「民」の街づくり先進地である米国ニューヨーク市を視察。「ビルのデコレーションを実際に見ることで、渡辺通りのデコレーションに活かしたい」、と、視察に参加した準備会の草場さんは話している。

関連情報:天神のXmasへ行こう2005


■ We Love天神協議会の設立に向けて


3月29日、同協議会の設立を記念するフォーラムが開催された。フォーラムでは、「エリアマネジメントの新潮流〜しっかり・楽しく・街をよくする〜」をテーマに、金沢、三鷹、表参道の個性的な街づくりに携わった関係者をパネラーとして迎え、各エリアの事例をもとに今後の天神モデルの方向性を探った。その際、会場内で実施した投票システムで、「地域活動は天神を良くするか」の問いに92%が「良くする」と回答するなど、天神地区のエリアマネジメントに期待する声共に、今後の活動に注目が集まる。

関連情報:天神で街づくりフォーラム−地域で魅力づくりを

「これまでは、個別に活動を行う組織はあったが、トータルに考え、継続的に実施する組織がなく、『より魅力的なまち』づくりを目指すために、私たちは活動しながら体制を整えていくことが天神らしいと考え、実践しながら『どうしたらよいか』を模索した」と、準備会の時から同協議会を担当する草場さん。
また、「天神地区では、地域の方自体が天神に対して愛着があり、同協議会の話をNPOや企業に持ちかけたときに皆様、快く話を聞いていただけた。天神をもっと魅力ある街にするには、街に関わる人が愛着を持っているとことが大切であり、天神が魅力あるエリアに成長して行くための原動力になる」と、活動を振り返った。


<参考:We Love 天神ロゴマークについて>

ロゴマークは、活動目標を表した「We Love 天神」というコンセプトを広めるために、そのイニシアルであるWLTを用いて制作された。Tenjinの頭文字であるTを+(プラス)記号に見立てることで、天神が、人や文化をつなげ、出会いや交流を育むまちであることを表現している。+記号は、協議会が常にプラス思考による積極的な街づくりを行う組織であることも表している。

We Love 天神協議会



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