特集/コラム

【インタビュー】2009-09-30

天神の「人・ひと・ヒト」 Vol.6
メンズアンダーウエアブランド「UNDER CASTLE」
デザイナー 下城進一郎さん

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パンツのサイドにクモの巣、フリル、ファー、LED…。メンズの下着とは思えない斬新なディテールが特徴のデザインはインナー限定で使うにはもったいないほど。メンズアンダーウエアブランド「UNDER CASTLE(アンダーキャッスル)」はインナー用の生地を使った、アウターとしても楽しめる「クロスウエア」を提案している。福岡在住ながら、世界に最新のデザインを発信するデザイナー・下城進一郎さんにインタビューした。

■「UNDER CASTLE」設立

熊本出身、関西育ち。高校時代に移った福岡でグラフィックデザインの専門学校を卒業後、広告デザイン会社のプロダクションに入社。グラフィックの仕事の傍ら、専門学校卒業後に誘われて開いたグループ展がきっかけとなり生み出した、体に絵の具を塗って描く「ボディスタンプアート」など、現代アート作家としても活動。


仕事を辞めてニューヨークへ渡り、作品展示や舞台デザインをする友人の手伝いを始め、アート活動中心の生活を送る。2000年に福岡へ戻り、アート活動のほかフリーランスでデザイン業務を手がけるようになり、現在は福岡、東京、ニューヨークを拠点に活動している。


アンダーウエアをデザインするきっかけは何だったのか。「シャツに合う、気に入ったインナーがなく、自分用として市販のものを深いVネックにアレンジしたのがきっかけ」と下城さん。始めると凝りだし、いろんな場所にデザインを入れたくなってきたのだという。夢中になり、気づくと大量に「作品」が。コレクションへの出品を視野に入れ、2007年にメンズアンダーウエアブランド「UNDER CASTLE」を設立する。翌年、ラフォーレミュージアム六本木で開かれた「東京発日本ファッション・ウィーク」の「東京コレクション・ウィーク」に出品した。


「ファッションデザイナーになるとは思っていなかった」という下城さんだが、体育祭で応援団長を務めた高校時代、応援団の衣装デザインを自ら手がけた実績も。「革新的なデザインで(笑)格好良く、女子の写真撮影の大行列ができた」と振り返る。また、所属していたバスケットボール部のジャージもデザインするほど「ファッションが好きだった」という。


10年後のデザインを提案

ブランドコンセプトは、インナー・アウターを選ばない「クロスウエア」。アンダーウエアの素材を使ったスーツやトップスも提案する。「おしゃれに気を抜かない人」がメーンターゲット。「高価なスーツを着ているが、下着はボロボロだと冷めるでしょう?人に見せないけど自分は分かりますからね」。


「女性の下着はおしゃれで数え切れないほどあるが、男性の下着は3種類くらいの型でバリエーションと言えば、せいぜい柄が違う程度で代り映えしないものばかり。今は男性もおしゃれだし、10年後には男性の下着も女性用と同様にバリエーションが増えるはず」と話す。素材についても「日本の化学繊維技術はレベルが高く、今は通気性が良かったり、黄ばまなかったり、臭いが出ないものもある。それに合わせ、10年後を見越したデザインしているつもり」とも。


「洋服は背の高いスマートなモデルが着れば良く見える。反対に誰が着ても格好悪く見えるパンツで『格好良いコレクション』をするのはものすごく難しい」。モデルのメイクや演出にもこだわる。「アンダーウエアが一番似合うシーンはお風呂上がり」。デビューコレクションでは、冬の寒さがまだ残る3月にも関わらず、モデルは全身、肌をウエットに。髪も濡らし、洗いざらしの乱れたヘアスタイルに仕上げた。「モデルからは寒い寒いと言われながら準備しました(笑)」という。


■福岡にこだわる理由

 高校から福岡に住み、仕事で東京に転勤、ニューヨーク在住の経験もあるが、やはり福岡に戻り、今に至る。


福岡にこだわる理由とは?――「福岡だと自分の理想とする暮らしができる。東京と比べると物価も安く、同じ金額でよりおいしいご飯が食べられ、良いところにも住める。デザインを生み出すことに場所は関係ないが、同じ給料で東京の狭い部屋に住み、余裕のある生活ができない状態でミシンを扱っても良いアイデアが生まれません」。


「福岡でおいしいご飯食べて、自分の好きな洋服を着ておしゃれを楽しむ余裕のある生活スタイルを作れば、自分の場合は自然とおしゃれなものを生み出すことができる」という。


またファッションに限らず、飲食店の店舗デザインなど、手掛ける仕事は幅広い。「建築、グラフィックなど、デザインは一つ一つ細分化されているが、一つのセンス、『芯』がしっかりしていればデザイナーは自分にしかできないデザインを一つのジャンルに縛られることなく、何に生かしても良いと思う」と話す。自身の「芯」の部分は「独自性」とも。


■福岡から世界へ発信

「独自性」にこだわり、デザインを起こす時は常に白紙に向かう。「アイデアに苦しむ状態でも、徹夜したデザインの締め切り前日には必ずデザインの神様が降りてきて、集中してデザインを描き上げることができる」という。「もちろん、夏休みの宿題は最終日までため込む常習犯でした…」とか。


細かい縫製の的確な指示ができるようにと、主婦に交じってミシン教室に通う努力も。「60歳くらいの女性に囲まれ、黙々と縫っています。デザイナーということは伏せて、趣味で洋裁が好きな人として習っています(笑)」。


ファッションデザイナーになるとは思っていなかった――。「10年後、全然違うことをしているかも。これが役に立っていたら良いな。これからも福岡から発信していきたい」。10年後を見つめる目が輝く。






取材・文/編集部 秋吉真由美

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