特集

福岡の個性派グルメブロガーが集結!
座談会で福岡の「食」を斬る―「うまい店の見分け方」も

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■福岡在住グルメブロガー座談会

参加していただいたのは以下のメンバー。


○fukuさん
ウェブ関係の仕事から「自分でも情報発信してみよう」と2004年にブログを立ち上げる。ランチをメーンに紹介。ほぼ毎日食べ歩いている。


○ShizuCafeさん
元会社員。「食べ歩き好きと、記憶力の訓練も兼ねて!」と2007年よりブログをスタート。メーンは居酒屋。


○けんこーさん
主にパン屋がメーン。ブロガーの集まりに参加したことがきっかけで2006年よりブログを開始。1店舗の全メニュー制覇や大食いした様子を書いた記事が人気に。


○葵さん
おいしいものが大好きだが「おいしくないと思った店は書かない!」と意志の強さも。週2~3日、福岡を食べ歩く日々。


○アサケンさん
右下肢切断という事故にあったことがきっかけで障害者向けのさまざまな情報を配信するブログとして2005年にスタートするが、いつしかグルメ情報ばかりに偏りが。障害者や高齢者が行きやすいグルメスポットを主に紹介している。


○ニシヒロシさん
B級グルメがメーン。月に50食以上は食べ歩き、現在400日連続で更新中。「おいしいが無名」「安い・うまい・接客満点」「1つでも褒められることがある」の3つが取り上げる店の譲れない基準。本職はカメラマン。


○せーじさん
ラーメン一筋。昨年は600杯食べ尽くし、今年ももう530杯制覇済み。大好きな店が売上げ不振で閉店したことがブログ開始のきっかけ。ブログの目玉記事となっている連続企画シリーズ「ガンソ定点観測」のため、月曜の夜は必ず老舗ラーメン店の「元祖長浜屋」へ足を運ぶ。


○モサオさん
会社の飲み会では「上司に写真撮らんでいいのか?」と気にされるほどの自他ともに認めるグルメブロガー。自分用メモのつもりがふと気が気付けば飲食店の記事だらけに。それにともないアクセス数も伸び、今では月40万ページビューという個人ブログでは驚きの数字を叩き出す人気ブログに。




――個性派ブロガー勢ぞろいですね(笑)まず、店選びの基準と書きたくなる店とは?
ニシヒロシさん(以下、ニシ) ニューオープンは行くかな。でも接客が悪かったら書きたくないんですよ。記事を見て行かれた読者が同じように嫌な思いをする可能性もあるし。
せーじさん(以下、せーじ) 店に対しての責任もとれないしね。
fukuさん(以下、fuku) オブラートに包んで、人の感じ方は違うのであえて接客には触れずに書いたりします(笑)
ShizuCafeさん(以下、Shizu) こうしてくれたら良かったな、ココ直してほしいなと書いたりしますね。
けんこーさん(以下、けんこー) 接客が良くなかったら、料理の事しか書きません。
fuku いつもブログを読んでくれている人は不味い店って分かるみたいですよ。
せーじ 後で「ここマズイっちゃろ?」と言われますもん(笑)
Shizu ここ教えたいという店は長々と書いたりしますね。
葵さん(以下、葵) あとは写真で想像してと(笑)


――こまめに更新されているようですが、ほぼ外食?
fuku 80%くらい外食かな。
せーじ 99%外食です(笑)
ニシ 今日半年ぶりぐらいに自炊しました(笑)


――すごいですね…ブロガーの苦労点は?
モサオさん(以下、モサオ) だいたい飲んで気持ちよくなってフワフワしながら書いているので別に苦労はないです。
fuku 書き込みに1時間くらいかかります?
モサオ いや、そんなにかかってない。あ、フワフワしているので実はかかっているのかも(笑)。遅くなりそうな日は携帯でリアルタイムに更新したりも。
ニシ 後日になって印象に残っている店はおいしい店。ココ良かったなーってすらすらと文章が書けますね。
fuku 2週間も経てば、料理の写真をデジカメで撮ってても「これ、何食べたっけ?」と良く忘れる。慌てますね(笑)
 食べたときのメニュー名もセットで撮ってますね。デジカメに食べ物しか写っていないときもあって悲しくなる(笑)


――撮影は携帯電話orデジカメ?
一同 ほぼデジカメです。
せーじ デジカメですが、一眼レフで撮ると断然おいしそうに見えますよね~。
ニシ でもそれやると目立っちゃう。少し前は同業者と思われたり。
せーじ ラーメン屋でも「お前、麺がのびるだろ~」ってくらい撮影に夢中な人もいます(笑)


――事前に行く店の情報収集は?注文するメニューにこだわりやコツは?
ニシ 僕は周囲を見渡す。ラーメン屋だけど、客が皆ちゃんぽん食べてるなと思えばちゃんぽんを。ちゃんぽん屋でも皆、ホルモン定食食べてればホルモン定食を注文する。
せーじ 僕はみんながちゃんぽん食べてて、ちゃんぽんの有名な店だとしても、ラーメン食べないといけないんです(笑)2杯食べることもあり、よく覚えられます。しょうゆラーメンを食べ終わって「大将、味噌」と言うと驚かれる(笑)
 私は、皆さんのブログで情報収集。
けんこー 誰かのブログとネタがかぶったらずらしたり。例えば、fukuさんが書いてるから良いかなーとか(笑)
ニシ でも、別のブロガーが同じ店を書いた記事を見て比較するのも興味深い。


――プロ意識ですね!そんな中でも教えたくない店、こっそり通いたい店は?
ニシ 結構ありますね。ただでさえ人気で、店内も狭い繁盛店は常連さんに迷惑がかかるなと思って載せません。こっそりデート用に隠しておきます(笑)
せーじ 僕はブログをはじめたきっかけが大好きな店がつぶれてしまったから。「こんなに美味しいのに何で?」というほど売り上げが上がらずガラガラ。結局つぶれてしまった…。うまい店は行列ができてでも広げないといけないと思います。今、特に飲食業界は厳しい。どうしたら流行るのか、悩みますね。
fuku メディアの露出もない良い店を見つけたらうれしい。応援したいなと思います。ランチに行って店主と2時間くらい話しこむことも。
せーじ 人の良い大将だと応援したいし。私は良くカウンターに座って話しかけます。そのおかげで携帯のメモリーには大将の番号がずら~り。仲良くなると楽しいですよ。


――良い店を嗅ぎ分けるコツは?
ニシ 店の外装をチェック。外装と屋号でなんとなくオーラを読み取る。
一同 すごい!!
fuku 窓ガラスや鏡をちゃんと拭いているか見ますね。窓際の席に座って景色がきれいでも窓にホコリでもあればテンションががっくり…。
ニシ アサケンさんのブログはトイレが載っていて面白いですよね。
アサケンさん(以下、アサ) それも賛否両論なんですよ、実は。飲食店なのに何でトイレ載せるの?って読者からクレームも。
Shizu トイレって客は意外と見てるから重要なんですけどね。
fuku クレームと言えば…。記事にクレームのコメントが付いた店はだいたいつぶれています。クレームの大半は接客に関して。接客で頭にきた人が検索して、偶然私のブログを見つけて怒りを発散していくみたいで。
ニシ 福岡は接客重視なんですよ。某会社の社長は人好きな人しか雇わないと断言していますし。
fuku 私たちはグルメというわけではなく、単に食べ歩きが好きというだけ。楽しく食べて帰れればそれで良し。それでも嫌な思いすることもあるんですよ。やっぱり接客が重要です。
せーじ その点、ラーメン屋は喋らない大将なんて大勢。ラーメン屋はどんなに接客が良くてもおいしくないと行かない。面白いくらいに逆です(笑)


――福岡にどんな店が欲しい?
せーじ 夜にも定食を出している店とか?
Shizu 1人でも入れる定食屋が欲しいですね。夜に一人でも入れる店といったら、ラーメンかうどん、そばぐらいしかないですし。
ニシ 飲食業界も2~3年で流行があって、同じ店が流行に合わせて看板変えて作り変えることも多い。今年は流行はワイン&タパスでしょう。不景気という経済状況も手伝って、気軽に飲める角うちスタイルのワインを提供する店が増えた気がしますね。


――ブロガー目線から見た福岡の飲食業界って?
ニシ 本当に福岡には良い店がたくさんあります。本当に食べ歩いている人にしか知られてない名店が特に多い。
fuku 基本的にハズレの店はほとんどないですね。ほぼ合格点。合格ラインは超えているけど、突き抜けた店は少ない気がします。好みにもよりますが。
ニシ 福岡はまずかったらつぶれます。ダメと思ったら行かないし。基本的に福岡は大衆的な店でないと流行りません。他県で3つ星の店が福岡進出してもあまり繁盛店にはならないという説もありますね。ある程度安くてうまくないと。3~5千円くらい?一食に3万だすなら、一食5千円に6回行く方が良いと考えてしまう。
一同 そうそう!
ニシ 現在の経済状況下、経営は困難でしょうけど、値段を下げれば良いってもんでもない!変な値下げ競争には参加しないほうが良いです。


――それと窓ふきが大事と(笑)最後に福岡の飲食店へ一言。
せーじ 店のコンセプトをしっかり据えること。すでに、ただ美味しいだけの店はいっぱいあるので埋もれます。新店でなんの特徴もないラーメンを出す店もあり「で、何がしたいの?」と思いますね。打ち出せるメニューの一つは必要だと思いますよ。
fuku そうですね。以前、沖縄料理の店に行って「オススメは?」と聞いたら「鉄板焼きです!」と言われて。この店終わったな…と思ったことが(笑)
ニシ ブロガーは敵ではないってこと。「口コミ」という媒体をうまく利用すればタダで宣伝してくれる人たちはいませんよ。だから写真撮るのも快諾して~。


■ブロガーは敵じゃない!

 パソコン画面の向こう側で「ただただおいしい店を伝えたい」と好きが高じて情報発信しているグルメブロガーたち。素直な意見を語ってもらったがブロガーの目線は興味深かった。大好きな店を応援したい一心でとそれぞれに責任感を持ち、情報を発信する。そこには「客」を飛び越えたプロ意識も。ただ、全員に共通するのは「美味しいご飯を楽しく食べられれば」との思い。先月の特集に引き続き、行き着くところは結局、「人」(=接客)のようだ。ただしラーメン屋以外は…(笑)


 「ブログ」というツールの流行で、近年は誰もが気軽に情報発信できる時代になった。ブログの口コミ効果は割引きクーポンをばらまくより絶大かもしれないが、経営者にとっては匿名で情報発信できる「ブログ」は恐い存在でもあるはず。クリック一つで「気軽に」繁盛店になるか、閉店の道を歩かされるか…。そんな店主に捧ぐ「ブロガーは敵じゃない!」――福岡の「食」を愛するブロガーは昨今の不況下、経営に頭を抱える店主の強~い味方なのだ。





取材・文/編集部 秋吉真由美

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