特集/コラム

【エリア特集】2007-07-06

都心部に位置した下町「春吉」
今、一番変化が見える「春吉」を支える「晴好実行委員会」とは?

 福岡・天神から徒歩5分ほどに位置し、西鉄の100円バスも通るエリア「春吉」。天神のほど近くにありながらも空襲を免れた下町の匂いがする古い町並み。ライブバーや、飲食店が多く、都心部にある隠れ家的なエリアと化している。ここ「春吉」では地元の個性を何よりも愛する店主らの「晴好実行委員会」が起こす「街おこし」の活動が活発化している。博多と天神の間に位置する春吉は、博多部の再開発による人の流れによって、ますます変化が期待できる場所。「春吉」の今、将来を「街おこし」で引っ張る面々を通して、迫る。

■「晴好実行委員会」発足の経緯・活動内容

 春吉2丁目に位置する酒販店「友添本店」。店内に入ると2階から大きな笑い声が聞こえてきた。同店の2階は晴好実行委員会の会議室代わりとして使用されている。コーヒー片手にアットホームな雰囲気で、打ち合わせというより「雑談」が進んでいる様子。ここから、イベント「晴好夜市」開催や春吉オリジナルの酒「晴好の風」の製造など、地域の取り組みとしては十分すぎるほど際立った形を残し、春吉ブランドの価値を高める企画が生まれた。

 「街おこしがしたい」−という思いのもと、春吉エリアに店を構える店主ら7〜8人が中心となって呼びかけが始まった。3年半前に実行委員会を結成。結成当初は「広めるために『形』として何か残そう」と、紙媒体も検討したが、コストの問題もあり、ホームページを作ることに決定した。2004年10月に開設したホームページ「晴好」。ホームページの名称「晴好」は、明治のころにこの地域で使用されていた表現。口コミや店同士のつながりもあって、協賛店は開設当初の40件から現在は、131件もの登録数に上っている。地域のホームページとしては多く、月に約20,000アクセスを記録。内容は、実行委員会の活動報告や「晴好ニューフェイス」と題したニューオープンの店の紹介コーナーなど、春吉の紹介はもちろん、マップ、イベント情報、春吉の住民の笑顔を集めたコーナーなどコンテンツは多数。実行委員メンバーで本業はプロカメラマンの比田勝大直さんが撮影した写真を使用、ライティングもプロが行っているためクオリティーが高い。店舗紹介も協賛店のみを取り扱うのではなく、エリアに存在する、すべての店舗を同様に紹介することで「春吉」の今を伝えようとしている。すべての店舗を紹介することについて、協賛店からの苦情などは一切無いという。同委員会の友添健二さんは「そういうところが不思議だが、理解してくれていることが春吉らしい」と話している。

晴好

毎年の恒例行事「晴好夜市」。開催は今年で4回目。「インターネットを見ることができる環境の人以外も楽しんでほしい。バーチャルの世界からリアルに」とネット以外でも皆で楽しもうと企画された。今年も5月13日、サンセルコ広場(福岡市中央区渡辺通1)で行われ、約2,000人の来場を記録した。ホームページ協賛店による飲食の物販や、特設ステージではお笑いライブ、有志らのライブステージなどで盛り上がりを見せた。

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 「春吉自慢を作ろう」−この一言から始まった春吉ブランド。第1弾は米作りから手がけた特別純米酒「晴好の風」。春吉エリアの小学生、店主ら約90人でバスを貸し切り、天吹酒造(佐賀県三養基郡)へ出発、田植えや稲刈りなどを地域住民自らの手で作り上げた。今年も6月24日に田植えを実施。今年は地域関係なく参加募集を行い、地域外の広がりも呼びかけた。

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 そのほか、福岡で活躍する若いアーティストの絵や立体作品などを地域の各ショップの店頭に飾る「アートサバイバル」を実施し、30〜40件のショップが協力した。そのほか、「『春吉』の歌を歌いたい」と春吉3丁目にあるライブバー「なべ家」のなべさんが「春吉ON MY MIND」という歌を制作、住民がコーラスで参加し、イベントでは皆で合唱するなど「街の歌」として定着しつつあるという。また、各ショップで春吉のネーミングをつけた商品を販売するなど「街おこし」の活動は多岐に渡っている。

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■「春吉は『個性』がある」−春吉エリアの在り方とは?

 「意思を持って変わらない」。「近年の春吉の変化をどう感じるか」と問うと、比田勝さんからこんな答えが返ってきた。「若者は親富孝通りから急激に離れ、見事に大名・今泉へ流れている。大名のように時代に順応していくことも大事だが、逆に変化が激しすぎて『大名』自体の個性が無くなってきている」とも。「春吉は『個性』がある。変えたくないのではなく、変えない意識の方が強い」と話す。「春吉は他地域に店を構えるオーナーが2店舗目、あるいは3店舗目として出店する傾向の地域ではなく、『春吉を目指して、出店するなら春吉に』というこの場所にこだわりも持って出店する店舗がほとんど。だからこそ、フットワークが軽く、1オーナーの権限で自由な発想の企画が次から次へと形になっていく」とも。また「若者がいるから出店、離れていくから街を出るという利用の仕方は嫌。春吉をそんな街にしたくない。良い意味で敷居を高くして個性を持ち続けたい。外からの流れに惑わされる街になってほしくない」と話す。

 また「博多部と天神部をともに徒歩20分圏内の回遊できる好立地。博多・天神とも街づくりが盛んだが、近場で競い合うのではなく、それぞれの個性の軸を伸ばし、良い距離感で共存していくべきだ」(同)という。

■晴好実行委員会の今後の活動について

 本業の合間の打ち合わせについて「のんびりしているようだが、なぜか企画の実施直前で決まる。皆が暖かいからかな」と友添さん。「会議の順番などを当番制にして義務化するつもりはない。そうなるとビジネスになってしまう。その時は止めた方がいい」(比田勝さん)と加える。今後の春吉ブランドの企画を練ることに余念がない。雑談の中から「こういうのはどう?」と生まれるという。友添さんは「皆が楽しめればという『ノリ』やもんね」−会議室に笑い声が響いていた。

文/編集部 秋吉真由美

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