i-PRO株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 Chief Executive Officer 中尾 真人、以下i-PRO)は、北海道大学(本部:北海道札幌市北区、総長 寳金 清博)が開発した新規蛍光試薬「ICG-C9」と従来のインドシアニングリーン(ICG)の蛍光を同時に撮像可能な医療機器向けのマルチ蛍光撮像カメラを開発しました。さらに、北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構と共同で、同カメラにより血流及びリンパ流を同時に識別できることを検証し、その有効性を確認しました。
マルチ蛍光撮像カメラ技術の特長は、複数の蛍光試薬による複数の生体情報を同時に取得し、それぞれをリアルタイムに分離・可視化できる点です。当社は、この度、同大学との共同研究により、世界で初めて2種類のICGを用いた血流とリンパ流のリアルタイム同時撮像を実現したことで、今後はさまざまな蛍光試薬との組み合わせによる応用展開、本技術による手術支援の高度化に貢献してまいります。

[図1] マルチ蛍光撮像カメラによる血流とリンパ流の同時可視化(イメージイラスト)
(例)マルチ蛍光撮像カメラにより胃大網動脈とリンパ流の撮像イメージ
可視画像と2種類の蛍光画像を重畳し、可視画像による解剖構造と、血流やリンパ流の機能情報を一体把握
■共同研究の背景
蛍光ガイド下手術*1は、血流やリンパ流を可視化する手法として広く用いられています。従来は一度の手技で単一の蛍光試薬しか可視化できないため、複数の生体情報を同時に把握することが難しく、術中判断の高度化を実現する技術が望まれていました。
*1 蛍光ガイド下手術:ICGなどの蛍光薬剤を用い、専用カメラで体内の蛍光を捉えることで、血流やリンパ流などを可視化しながら行う手術。
■蛍光イメージング医療向け新規蛍光試薬「ICG-C9」
こうした課題解決のため、北海道大学先端生命科学研究院の門出 健次教授、神 隆客員教授、マハデバ スワミィ助教らは、ICGとは異なる波長領域に蛍光ピークを有する新規蛍光試薬「ICG-C9」を開発しました(2024年4月8日発表)。これにより、血流とリンパ流を別々に可視化することが可能となりました。

[図2] 2種類のICG蛍光試薬と蛍光特性
■ i-PROのマルチ蛍光撮像カメラの技術概要

[図3] i-PROのマルチ蛍光撮像カメラ
i-PROが開発したマルチ蛍光撮像カメラ*2は、可視画像に加え、赤外波長域にある2つの蛍光画像を同時に取得できるマルチチャネル構造を採用しています。本共同研究では、ICG及びICGC9の蛍光特性を活用し、ICGを血流評価に、ICG-C9をリンパ流評価に用いるほか、その役割を入れ替えた条件でも検証を実施しました。
マルチ蛍光撮像カメラは、ICG及びICG-C9それぞれの蛍光特性に最適化した条件の下、蛍光信号のクロストークを抑えつつ、ICG及びICG-C9それぞれの蛍光信号を高感度で撮像できます。マルチ蛍光撮像カメラにより、2種類の蛍光信号を高精度に分離表示し、複数の生体情報を同時にかつ明確に把握することができます。 *2 本技術に関する特許出願中
<マルチ蛍光撮像カメラ技術の特徴>
- 2種類のICG蛍光により血流とリンパ流をリアルタイムに同時分離・可視化できる技術は、世界初*3です。 *3 i-PRO調べ
- 一般的なCMOSイメージセンサを使用し、異なる波長の蛍光信号を同時に取得し、クロストークを抑えた高精度な分離表示ができます。
- 複数の生体情報を統合的に取得できる新しい可視化プラットフォームです。
■ 検証結果
本共同研究において、i-PROと消化器外科を専門とする北海道大学病院医療・ヘルスサイエンス研究開発機構の渡邊 祐介特任講師は、2種類のICG蛍光(ICG及びICG-C9)を用いた臨床観点での撮像実験により、異なる生体情報を同時に可視化する新たな手法を検証しました。
マルチ蛍光撮像カメラにより、ICG静脈投与による血流の評価とICG-C9局所投与によるリンパ流の描出とをリアルタイムに分離しながら同時に可視化できることを実証しました。さらに、可視画像と複数の蛍光画像を同時に取得し、術野の可視画像による解剖構造と、血流やリンパ流といった機能情報を重畳表示できることが示され、マルチ蛍光撮像カメラが複数の生体情報を同時に可視化し得る有効な技術であることが証明されました。

[図4] マルチ蛍光撮像カメラ(今回)と従来の見え方の比較(イメージイラスト)
■ マルチ蛍光撮像カメラ技術の意義と将来展開
マルチ蛍光撮像カメラ技術の本質は、特定の観察対象にとどまらず、複数の生体情報を同時に取得・識別できる点にあります。これにより、用途に応じた蛍光試薬を組み合わせて複数の生体情報を同時に可視化する新たな手法の展開が期待できます。
i-PROは、マルチ蛍光撮像カメラを複数の生体情報を統合的に取得できる可視化プラットフォームとして位置づけ、今後、さまざまな蛍光試薬との組み合わせによる応用展開を推進していく予定です。
なお、本共同研究結果は、6月20日に米国で開催された蛍光ガイド内視鏡・低侵襲外科手術の国際学会「International Society for Fluorescence Guided Surgery(ISFGS)」で、北海道大学により発表されました。
【北海道大学について】こちらをご覧ください。https://www.hokudai.ac.jp/
【i-PRO株式会社について】https://i-pro.com/
i-PRO株式会社はセキュリティ、セーフティ、医療機器向けエッジコンピューティングカメラの世界的リーディングカンパニーです。60年超におよび培われた高品質で信頼性の高いハードウェアを用い、画像を意思決定の現場で活用する最先端技術を開発しています。i-PRO製品は、容易にカスタマイズ及び統合ができるよう設計されており、お客様のあらゆる用途に柔軟に対応します。
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