特集/コラム

【エリア特集】2007-10-31

福岡がアジア色に染まる1カ月
「アジアマンス〜交流から共生・貢献へ〜」

−アジアの玄関口、福岡。
毎年9月、福岡市内各所で行われているイベント「アジアマンス」。今年で18回目を迎えた「アジアマンス」は、福岡の代表的なイベントとして、アジアとの交流の場として、その役割を担っている。今年、サブタイトルを「アジアを深める30日」から「交流から共生・貢献へ」と変更し、「アジアマンス」は新しいスタートを切った。アジアを知る、交流を深めることをテーマに続けてきた「アジアマンス」の歴史を振り返るとともに、発展が著しいアジア各国との交流、そして共生・貢献を目指す「アジアマンス」のこれからを探る。

■アジアマンスの歴史

 −1989年、福岡市制100周年を記念して「アジア」をテーマに行われた「アジア太平洋博覧会〜よかトピア〜」。
すべてはここから始まった。この「よかトピア」で培った友情を深めようと、翌年の1990年より「アジアマンス」が始動。芸術面の強い「福岡アジア文化賞」「アジアフォーカス・福岡映画祭」、分かりやすく伝えることがコンセプトのイベント性が高い「太平洋フェスティバル」の主要3事業を抱えてのスタートとなった。この3大事業のほかにも民間企業が行う「登録事業」も合わせて実施しており、開催初年度のその数は24事業。昨年は80事業、今年は77事業と初年度から約3倍の事業数に膨れ上がっている。福岡市経済振興局観光振興課 アジアマンス推進担当の白石将俊さんは「この数値こそ、各企業のアジア事業への関心や取り組み方に変化が起きている証拠」と話している。
 

■今年は経済効果の活性化も

 今年、変更されたサブタイトル「交流から共生・貢献へ」。今まではアジアを知って交流を深めることを目的としてきたが、今年は一歩進んだテーマへと踏み出した。企画担当の赤澤由起子さんは「『共生』は『共に生きる』ではなく、『共に生み出す』というとらえ方」と話す。アジアを知った上で何かできることは…。新しいものを生み出したい…。こうした思いから企画が組み立てられていく。
 
 同時に、共にイベントを大きく育てたいと経済効果も視野に。メーンステージ名にネーミングライツも取り入れ、企業メリットにもつなげた。収益も重要だが、この「場」を活用してほしいためという。そのステージで、今年新たに生み出されたのは「ASIA・JAPANコラボレーションダンスステージ」。韓国から「Gambler」、台湾から「M.IT FUNK」、日本から「スペーストラベラーズ」など、複数のダンスチームがステージを披露。最後にはダンサー全員によりコラボステージで幕を閉じ、途中、雨に見舞われるも、この機会でしか見られないステージに、観客は帰らず、見入っていたという。
 
 そのほか、イムズで日本旅行業協会との共催で観光プロモーションを実施。台湾・韓国・タイ・フィリピン・マレーシア・香港・シンガポールのブースが並び、海外旅行などが当たる抽選会など参加型イベントで集客にも成功した。
 
 市の事業でも経済効果を。収益目的との声も上がったが、今回初めてローソンとアジアマンスのタイアップ商品を生み出した。アジア各国の料理やデザートを九州一円のローソンで販売。売り上げの一部は「アジアマンス募金」とし、国連ハビタットに寄付されるというもの。「福岡市民にはやや定着感もあるが、『定着=飽き』になることも。企業も巻き込んで新しいことをしていかなければ。今からは文化と経済の両輪で動かすべき」(白石さん)と話す。同企画では、「アジアマンス」という単語を外に出すことでのさらなる知名度アップも目指した。
 
 また、主要事業の1つである「アジアフォーカス・福岡映画祭」が今年からインターナショナル色を強くしようと「国際」を加え、「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」として実施された。
 

■アジアマンスの裏側

 各国、価値観や仕事の進め方にももちろん違いがある。その点が面白く、各国の魅力にもつながるところだが、やはりステージイベントのスケジュール調整など苦労が耐えないという。赤澤さんは「最終的には参加された方、皆さん楽しんでお帰りになるが、本番当日フタを開けてみないと分からない部分も(笑)」とも。
 
 そのほか屋外での会場ということもあり、天気に左右される難点も。昨年は台風のため、中止になったイベントもあった。今年も異常なまでの暑さ、スコールのような勢いの大雨。現場スタッフやカメラマンなど、体調を崩す人も。白石さんと赤澤さんは「暑さでいつもの3倍疲れましたね(笑)」と声をそろえる。その頑張りが各イベントの成功に反映しているようだ。

■今後の「アジアマンス」の進む道とは?

 「1年間、何かしらのアジア関連のイベントを行いつつ、9月は集大成の月となる年間のイベントである形が理想的」と白石さん。「福岡アジア文化賞」で培われた人とのつながりや、「アジアフォーカス・福岡国際映画祭」で上映したフィルム。1990年から順調に実績を積み重ねてきた「アジアマンス」。次に求められるものについて探る。白石さんは「ストック、経験、人的ネットワークの2次利用を視野に。『アジアマンス』は今こそ岐路に立たされていると思うんです」と話す。「文化はすぐに伝わるものではない。時間をかけて伝えていくもの」とも。市の事業の取り組みとしては規模が大きなイベントとして評価が高く、他県からの問い合わせや質問も舞い込むほどに成長した「アジアマンス」。「アジアの玄関口」と位置づけられている福岡としては、交流を軸に共生・貢献へと大きく羽ばたき、世界での「福岡」の名前を広げること、アジア各国の幅広いつながりを確かなものにすることが求められる。
 
 「福岡」を世界へ引っ張る存在になりつつある「アジアマンス」に今後も期待したい。

 

文/編集部 秋吉真由美

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